シリーズ 最後の巨大市場 アフリカの攻防③ケニアを席巻する中国マネーの功罪

  • 国立公園のど真ん中に中国の国営企業が鉄道を建設 
  • 高速道路、長距離鉄道、防犯システムなどケニアの国家プロジェクトに巨額投資
  • 一方で、膨らみ続ける債務に懸念の声も

チャイナマネーの脅威

フジテレビ開局60周年特別企画。
「シリコン・サバンナ」と呼ばれ、残された最後の巨大市場・アフリカの中で急成長しているケニアについてシリーズで放送する。

3回目は、迫るチャイナマネーの脅威に注目した。

ナイロビの中心部から車で15分の場所にある国立公園

赤道直下の野生の王国。
その傍らには高層ビル群がそびえ立ち、大自然と最先端の技術が共存する、シリコンサバンナ・ケニア。

ケニアの首都ナイロビの中心部から車で15分の場所にある国立公園の広大な敷地内には、シマウマやキリンなど多くの動物が生息し、まさに、野生の王国。アフリカならではのどこまでも広がる大自然だ。

公園を分断するように建てられた橋脚が…

中国の国営企業が行っている鉄道の建設工事

しかし、このうっすらとかかったもやの向こうに、異様な光景が広がっていた。
サバンナのはるか向こうまで延びる橋脚。これは、中国の国営企業が行っている、鉄道の建設工事。

高さ十数メートルにも及ぶ、コンクリート製の柱。それが、公園の中を分断するように建てられている。

近年、ナイロビ市内を中心に開発が進んでいるケニア。
日本からもトヨタ、ソニー、日産など、さまざまな企業が進出しているが、それをはるかに上回る規模で進出し、次々とケニアの国家プロジェクトを手がけているのが中国。

「一帯一路」の玄関口ケニアに巨額の投資

今、アフリカ・ケニアで、大きく幅を利かせているのが中国なのだ。
急成長の背景にあるのは、ケニアに投資される巨額のチャイナマネー。

習近平国家主席が提唱する、中国とヨーロッパをつなぐ巨大経済圏構想、一帯一路。そのアフリカの玄関口であるケニアに対し、中国は積極的に投資をしてきた。

習近平国家主席が提唱する、一帯一路

最大、片側6車線の高速道路。
かつては、片側1車線の狭い道路だったが、数年前、中国の支援によって整備された。

中国の支援によって整備された高速道路

2年前には、首都ナイロビとケニア最大の港町モンバサを結ぶ長距離鉄道が開通。
およそ4,000億円の整備費の9割を、中国からの融資で賄ったとされている。

首都ナイロビとケニア最大の港町モンバサを結ぶ長距離鉄道

防犯システムも

さらに、中国の進出は、交通網などの建設関係だけにとどまらない。
中国の通信機器大手・ファーウェイが、4年前にケニアで導入した防犯システム。

街中に設置された高画質のカメラで顔認証を行い、瞬時に個人を特定。
犯罪率の低下など、一定の成果を挙げているという。

ファーウェイが導入した防犯システム

ケニア社会の奥深くにまで根を下ろしている中国。
今やケニアの若者にとって中国語を話せることが、より良い条件の仕事に就くための近道にもなっている。

中国語学校の元生徒(23)

中国語学校の元生徒(23):
中国語は1年間、週5回、夕方に学んでいました。中国語を学んだあと、就職できました。

中国語学校の元生徒(27):
最近までみんな学んでいなかった言語だし、約10億人が中国語を話すという統計もある。何より彼らは、アフリカやケニアに来ている

膨らみ続ける債務に懸念の声も

多額の投資や雇用の創出など、中国はケニア経済急成長の支えとなってきたが、その一方で、積もりに積もった借金をどう返していくのだろうか?

ケニア政府は、これまで中国の支援を積極的に受け入れてきたが、膨らみ続ける債務に懸念の声も上がり始めている。

アリ・カーン・サッチュ氏

経済評論家のアリ・カーン・サッチュ氏:
債務を返済できなければどうなるのかという疑問が出てくる。中国がその国から利益を得られると考えればいいかもしれないが、危険なシナリオは、中国が『返済しないなら没収する』ということ…

地球最後の巨大市場、アフリカ。
その中で、ケニアは今後、どんな未来を選択していくのか。
その、かじ取りに世界が注目している。

ケニアの経済発展はいったい誰のためのものなのか…

2017年のケニアへの投資額を見ると、中国は451億円。日本の105億円に比べて4倍もの巨額マネーを注ぎ込んでいる。

これについて経営コンサルタントの森田章氏は、
「ケニアに広がる中国に対する懸念として、スリランカの例が1つある。スリランカは港湾の建設資金を中国から借りていたが、返済できなくなり、99年に渡って港の運営権を譲渡した。
今回のケニアのケースでは、大量の労働者を中国から連れて行っているので、現地の雇用だったり人材育成に繋がっていないとの批判がある。
やはり経済的波及効果の高いインフラを整備するには現地の雇用を生んだり、優れた技術の移転によって人材を育成していくことが重要だと思う。
ケニアの経済発展がいったい誰のためのものなのかという視点で見ていく必要がある」と指摘する。

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(「プライムニュース α」3月27日放送分)