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災害時「ネットにつながない6時間が被災者を救う」…その理由を聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 「災害時のインターネットの正しい使い方」をSo-netが公開
  • 日本全国、スマホもPCもすべてのネット使用を控えるべき
  • 担当者「実は私たちも新たな発見でした」

東日本大震災からまもなく8年となるが、あなたは災害時のインターネットの使い方をちゃんと心得ているだろうか?

3月6日にインターネット接続サービスのSo-netは「大規模災害発生時におけるインターネットの正しい使い方」と銘打った防災マニュアルを公開した。
その中で、災害があったとき生命の危険を避けられた人は、電話やインターネットでの通信を6~8時間は控えることが望ましく、「ネットにつながない6時間が被災者を救う」と指摘している。

<マニュアルの要点>
災害発生直後は、安否確認や情報収集のため、データ通信量の増加などによる接続障害や停電、基地局の被災などにより、インターネットに接続できなくなってしまうことも考えられます。このような事態になると、生命の危険に直面している人からの発信や自治体の緊急連絡などに影響を及ぼす可能性があります。そのため、生命の危険を避けられている人は可能な限り電話やインターネットでの通信を控えることが望ましく、その目安は災害発生から6~8時間といわれています。

これまでも大災害が発生すると、不要不急の「電話」使用を控える呼びかけが行われていたが、このマニュアルでは「インターネット」も控えたほうがいいとしている。

災害時にネットは比較的強いと言われ、情報収集や連絡手段などむしろ積極的に活用すべきと思われていたが、被災者以外のネット使用は本当に控えた方がいいのか?So-netの担当者に聞いてみた。

被災地のネットワークが詰まってしまう

――「インターネットの使用を控える」とは日本全国で控えるのか?

そうです。
被災地も被災地以外も不要不急のインターネット使用はやめた方がいいというのが専門家のご意見です。


――スマホや携帯電話だけでなく家や会社のパソコンも控えた方がいい?

そうです。
携帯電話だけでなくWi-Fiや固定通信なども含めたすべて、不要不急のインターネット使用は、被災地のネットワークが詰まってしまう原因になるということです。
細かく言えば、それぞれ回線の太さなどが違いますので多少は詰まりやすさが違うのですが、やはりアクセスが集中してしまうと繋がりにくくなるのは同じですので、直後の6時間ぐらいがキモになるということです。


――ネット使用を控えた方がいいというのは、あまり聞いたことがないが…

実は私たちも新たな発見でした。
今回、専門家の方に監修していただいたところ、携帯電話だけの問題ではないということが分かりました。


――しかし、仕事でも使うインターネットの使用を控えるのは難しいのでは?

過去の災害時は、おそらく携帯電話でみんなが一斉に情報を集め始めるのだと思いますが、通信量が極端に増えています。
そうなると、やはりネットワーク障害が起こりやすくなるんです。
ですので仕事であってもなるべく控えた方が被災地のためになるということです。

改めて覚えておきたい様々な対策

マニュアルではさらに、被災地などでインターネットや電話が繋がりにくくなった場合をはじめ、大災害時に覚えておきたい様々な対策を紹介している。

【インターネットにつながりにくいケースでの対策】
スマホが圏外になった場合は、以前にも紹介した「00000JAPAN」など公衆無線Wi-Fiの活用をすすめている。
また電話がつながりにくい場合は、LINEやSkypeなどの音声通話アプリか、震度6弱以上の地震や大災害が起きた時に提供される携帯キャリアの「災害用音声お届けサービス」を使うことを促している。


【スマートフォンのバッテリー対策
災害時に停電が起きると、もちろんいつ復旧するか分からない。
さらに基地局が停電や故障によって使えなくなると、スマホが繋がる基地局を探し続けるため通常時よりもバッテリーを激しく消費してしまうという。
そこで、電池式の充電器と乾電池を用意するとともに、「機内モード」を使って無駄なバッテリーの消費を抑えることを提案している。


【安否を確認するための対策
災害直後は、電話などによる安否確認が集中するため連絡が取りづらくなる可能性がある。
そこで、携帯電話のキャリアが提供する「安否確認サービス」や「災害用伝言ダイヤル(171)」の活用を提案。
また自分のスマホが使えなくなった場合を想定して、SNSのID・パスワードや家族の電話番号は紙に書いて持ち歩くことをすすめている。


【情報を収集するための対策
2016年の熊本地震では「地元の動物園からライオンが逃げ出した!」というフェイクニュースが出回り、大きな騒ぎになったことを覚えている人も多いだろう。
このような発信源が不明の情報に惑わされないため、自治体やマスコミが提供しているアプリを使うことや、SNSで首相官邸や気象庁、内閣府防災など、公的機関のアカウントをフォローしておくことをすすめている。


【情報を発信する際に気を付けること
災害時のTwitterなどでは「#救助」などハッシュタグ付きの投稿が一気に拡散するが、このようなハッシュタグは基本的には使わないほうがいいそうだ。
2018年の西日本豪雨でTwitterに投稿された内容を東北大学の佐藤翔輔 准教授らが調べたところ、「#救助」が付いた84.5%は救助要請と全く関係なかったという。(どんなツイートが多かったのかなど調査の詳細はこちら

防災アドバイザーの高荷智也さん(写真左) ITジャーナリストの井上トシユキさん

このマニュアルを監修したのは、防災アドバイザーの高荷智也さんとITジャーナリストの井上トシユキさん。
So-netでは印刷にも適したPDF形式のファイルを公開しており、パソコンとスマホそれぞれの閲覧に適した2種類のサイズを用意している。

PC版:https://www.so-net.ne.jp/access/special/sony_so-net/assets/pdf/sonet_manual_pc.pdf
SP版:https://www.so-net.ne.jp/access/special/sony_so-net/assets/pdf/sonet_manual_sp.pdf


3月11日は改めて防災を考えるよい機会。
被災者ではなく情報支援の目的でネットを活用していた人も多いと思うので、今回の発表には驚きもあるが、大災害時に少しでも被災地のためになるような、こうした防災の知識を蓄積していくことが大事だ。