災害時インフラ最新情報

“合意なき”米朝が見せつけた“能力”とベトナム国家警察のMP-5サブマシンガン

カテゴリ:話題

  • 第2回米朝首脳会談「合意せず」
  • 米朝首脳の通信能力の差
  • ベトナムがアピールしたことは 

第2回米朝首脳会談  米朝が得られなかったこと

非核化を巡るトランプ米大統領と金正恩委員長の第2回米朝首脳会談は、2月28日、合意文書に署名することなく、終わった。いわゆる非核化が進まないと同時に、対北朝鮮制裁の解除も行われないことになった。

トランプ大統領と金正恩委員長(2月28日 ベトナム・ハノイ)

今回の会談では、会談前から、両国の“能力”を意識される場面があった。

一つは、開催場所である。米国側は、2017年のG20の開催で、警備面での実績のあるダナンを望んだが、北朝鮮側は、同国の大使館のあるハノイでの開催にこだわり、結局、米側が北朝鮮側の要求を受け入れた。

北朝鮮は、なぜ、在ベトナム北朝鮮大使館のあるハノイにこだわったのか。考えられることの一つは、米国と北朝鮮の通信能力の差だろう。

トランプ大統領の車列が見せつけた“通信能力”

トランプ大統領は、旧ソ連系のカラシニコフ小銃を持った警備兵が立つ宿舎のホテルから、会談会場に、11両以上のクルマを連ねていた。

2両目には、複数の通信アンテナらしきモノを立てた通信用の車両があった。

その後ろに2両の防弾ガラスの厚さが12cm以上と言われ、耐弾性を高めた"2009キャデラック・プレジデンシャル・リムジン"、「キャデラック・ワン(通称、ビースト)」が続く。

さらに車列の後ろの方には、「ARA-0548アンテナ」とみられる十字型アンテナを取り付けた車両があった。このアンテナは、小型だが、車両が走りながら衛星通信を行うのに適した通信アンテナとされ、米軍の装甲車にもしばしば、積載されている。

今回の米朝首脳会談にあたって、米空軍は、いざという場合に、米大統領が搭乗して、戦略核兵器の部隊を含め、全世界に展開するE-4B国家空中作戦センター機をシンガポールに待機させていたとみられている。

緊急事態に同機やワシントン等と米軍の軍用通信衛星を通じて、機密の通信を行うための態勢は出来ていたということだろう。

E-4B国家空中作戦センター機

金正恩委員長が空輸したリムジン

これに対して、北朝鮮側は、金正恩委員長は、走行性能で知られるメルセデスS600プルマン・ガードとみられるリムジンを、北朝鮮から、イリューシン76MD輸送機で空輸し、使用していたが、北朝鮮軍には、専用の軍用通信衛星はない。北朝鮮側が、在ハノイ北朝鮮大使館の通信能力に依存せざるを得なかったとしても不思議ではないだろう。

ベトナムは、警備状況を世界にアピール?

米朝首脳会談は、前述のように、「合意文書に署名せず」、今回は終ったが、米朝力国以外に、目を引くものが、ハノイにはあった。

建物の屋上に立つ兵士、または、警官は、2名1組という態勢から、狙撃手と、狙撃手に指示を行うスポッターの“警備狙撃班”の可能性もありそうだったが、狙撃銃のようなモノが確認できず、正体は不明だった。

ベトナム戦争以来の系譜と非東側装備

その代わりに地上で目立っていたのは、カラシニコフ小銃を持つ兵士や装甲車だった。軍事評論家の宇垣大成氏によると、AKMS小銃を持った兵士や、旧ソ連製のBTR-60装甲兵員輸送車が目立っていた。これは、ベトナム戦争以来の旧社会主義陣営諸国との歴史歴関係を伺わせる。

AKMS小銃
BTR-60装甲兵員輸送車

その一方で、目立っていたのは、ハノイの集まった各国のメディアの前に現れたベトナム国家警察が保有するドイツ系のMP-5サブマシンガンと韓国製のS5四輪駆動装甲車である。ベトナム国家警察は、捜査・逮捕権を持ち、戦闘能力を持つ組織である。

MP-5サブマシンガンを持つベトナム国家警察隊員
韓国製 S5四輪駆動装甲車

ベトナムがアピールしたのは西側への接近?政策の多様化?

軍事評論家の宇垣大成氏によると、MP-5サブマシンガンもS5装甲車も昨年前後にベトナムが導入を開始したばかりであり、「ベトナムの西側への接近を印象付ける」という。

世界中のメディアが注目した米朝首脳協議の警備で、あえて、旧社会主義圏製だけでなく、西側諸国を含む装備を導入していることをアピールしたのだとすれば、ベトナム政府の西側接近政策、または、多様化政策のアピールは成功したのかもしれない。

(フジテレビ 解説委員 能勢伸之)

↑「能勢伸之の週刊安全保障」をまとめて読む