インフルかもと思ったら「スマホで医師に相談」。感染拡大防止へ…実用化はいつ頃?
- インフルの疑いがあるとき医師にスマホで相談できるサービス
- 医師とビデオ通話しながら、検査キットを使用
- 診断ではなく、あくまでもアドバイス
「スマホで医師に相談」の実証実験
各地で猛威を振るっているインフルエンザ。
国立感染症研究所の最新のデータでは、1月20日までの1週間で、インフルエンザの患者の数が、前の週より約50万人増え、推計約213万人にのぼっている。今シーズンで初めて、全都道府県で警報レベルを超えた。
感染しないように予防も大事だが、体調が悪いと思いながら出社・登校した結果、自分が周囲にインフルエンザを感染させてしまうという事態も避けたい。
こうした中、発熱や関節の痛みなどインフルエンザが疑われる症状があるとき、ビデオ通話機能を使って、医師からアドバイスを受けられるサービスの実証実験がスタートした。
実証実験をするのは、医療系ベンチャーでオンライン診療サービス「クロン」を手がける「MICIN(マイシン)」。
三菱商事など数社が参加し、その企業の一部の社員、数百人程度が対象となるという。
気軽に医師からインフルエンザかどうかのアドバイスを受けられるとしたら、職場や学校での感染拡大を防げる画期的なサービスだが、具体的にはどのようなものなのか?そして実用化はいつ頃になるのだろうか?
実証実験を行っている「MICIN」の広報担当者に話を聞いた。
医師とビデオ通話しながら、検査キットを使用
――実証実験はどのような手順で行われる?
参加者は事前に手順の説明を受け、専用アプリをスマートフォンに入れ、指定された薬局から検査キットを受け取っておきます。
そして、発熱や関節痛などインフルエンザが疑われる症状が出たら、参加者はまず、専用アプリで問診に回答。
その回答を今回の実証実験にご協力いただく医療機関の医師が確認し、参加者にビデオ通話をかけ、参加者は医師とビデオ通話しながら、検査キットを使用。
専用の紙を使って鼻水をとり、綿棒を使ってその鼻水を採取。それを検査薬に溶かして、検査薬を検査キットの窓に垂らすと、3~8分で結果が出ます。
その結果を医師が確認し、「インフルエンザの疑いが強いので出社を控えて最寄りの病院で受診するように」などとアドバイスする、という流れです。
診断ではなく、あくまでもアドバイス
――この検査でインフルエンザに感染しているかどうかがはっきり分かる?
今回の実証実験は、参加者が自分できちんと検査キットを使うことができるか、医師がビデオ通話で正しい結果を認識できるかを検証します。
ちなみに、今回はオンライン診療ではなく、オンラインの受診勧奨ですので、医師は結果をもとに診断することはありません。
あくまでインフルエンザに罹患している可能性が高い、低い、と伝えた上で、正しく対面で受診するようアドバイスをするのみです。
――このような実証実験を行おうと思った理由は?
弊社はオンライン診療サービス「curon(クロン)」を医療機関向けに提供しています。
毎年流行するインフルエンザに対し、このクロンの仕組みを使ってなにか貢献できないかと考えました。
忙しい会社員などは、熱が出ても無理に出社し、インフルエンザの感染を広げてしまうケースが少なくありません。患者が自宅で検査し、出社を控えれば感染を抑制できると考えています。
実用化は規制緩和次第
――実用化はいつ頃になりそう?
今回の取り組みは、規制のサンドボックス制度を利用しています。
これは、現行の規制に抵触する恐れがある新規事業について、あらかじめ事業計画を示して規制の適用の有無を確認する制度です。
このため、現状、サンドボックス制度がなければ、患者がインフルエンザの検査キットを自分で利用することはできません。
実用化は、規制緩和次第の面が強いと言えます。
また、今回の取り組みは保険の対象外の自由診療となります。
今回は賛同企業に費用を負担していただいていますが、実用化のためには保険診療についての検討も必要だと考えています。
インフルエンザの感染拡大の防止に一役買いそうな、このサービス。
実用化は規制緩和次第とのことだが、なるべ早く実用化して、今シーズンのような大流行を少しでも防いでほしいものだ。