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「オウムの報復」真意は? 竹下通り暴走男が企てた恐ろしい“火炎放射”計画

金子聡太郎
カテゴリ:国内

  • 元日の東京・原宿を車が暴走 1人重体、7人が重軽傷
  • 車内からは灯油100リットルと高圧洗浄機を改造した“火炎放射器”が見つかる
  • 逮捕後の調べに対し、オウムを念頭に「死刑制度への報復」と供述

「テロを起こして自爆する予定だった」

冷え込む冬空の下、代々木公園沿いの道を、上着も着ずにふらつきながら歩く男。
不審な男を見つけた警察官は「どちらにいかれますか?」と声をかけた。

「今テロを起こしてきました。オウムの報復です」と答える男からは、油のような臭いが漂う。

警察官:
灯油かガソリン臭いですけどどうしたのですか?

男:
テロを起こして自爆する予定でした。

警察官:
原宿で事故を起こしたのはあなたですか?

男:
車で人を轢いてきました。大阪から出てきた。場所がわからない。

竹下通りで車が暴走(1月1日)

8人をはね飛ばし・・・歩行者を殴って逃走

新しい年を迎えたばかりの東京・原宿の竹下通り。

午前0時10分ごろ、突然軽自動車が通りを暴走して歩行者8人を次々にはね飛ばし、建物に激突して停車した。
現場にブレーキ痕はなく、その距離は約130メートルにわたった。
はねられた8人の歩行者は重軽傷を負い、そのうち19歳の男子大学生は現在も意識不明のままだ。

車から出てきた男を、別の歩行者が「なにやってるんだ」と問いただしたところ、男は歩行者を殴りつけ、ジャンパーを脱ぎ捨てながら逃走した。
およそ20分後、代々木公園近くで男は警察官に身柄を確保された。

恐ろしい計画が明らかに

殺人未遂の疑いで逮捕されたのは21歳の容疑者。
大みそかの昼頃に大阪からレンタカーで上京し、明治神宮付近に待機していたという。

「明治神宮に入ろうと思ったが、規制されて入れなかった」と供述しているが、暴走の機会を夜までじっと待っていたかといえば、そうではないようだ。

暴走した車の中からは、100リットルのポリタンクに入った大量の灯油や、高圧洗浄機が見つかった。
高圧洗浄機のノズルの先端は改造が施され、ガスバーナーのような着火装置がテープで巻かれて固定されていた。

この灯油とお手製の“火炎放射器”で、容疑者は道行く人に見境なく火をつけるつもりだったという。
初詣に向かう群衆に霧状の灯油が噴射され、着火していたらと想像すると、信じがたい計画だ。

容疑者は車の中で「リハーサル」も行っていた。

明治神宮付近で高圧洗浄機から灯油を吸い上げ噴射しようとしたが、実際は、うまくいかなかったという。
明治神宮での車両規制、装置の不完全など、容疑者にとっては「誤算」が重なったことで、最終的に車を暴走させるという選択肢を選んだということのようだ。
それでも無差別に8人をはねた犯行は、今後、重い刑事責任を問われることになるだろう。

いずれにせよ、執拗な殺意というファクターがぬぐい切れないこの事件。
容疑者はなぜこんな事件を起こしたのか。

「テロ」供述も、思想性を裏付ける証拠なく

逮捕直前、「テロを起こしてきました」と話した容疑者は、逮捕後の調べに対し、オウム真理教の教祖らの死刑を念頭に、「死刑の報復でやった。死刑制度を支えるこの国の国民を殺そうと思った」などと話しているという。

しかしながら、自宅などからも“思想性”をうかがわせるものは出ておらず、オウム真理教との関係もないとみられている。
本人が「テロ」と言い張っても、政治的な思想などがない以上、テロでは全くなく、無差別通り魔事件である。

犯行の動機や特異な犯行計画。いまだ多くの謎が残っている。
警視庁は今後、容疑者の精神鑑定も含め、全容解明を進める方針だ。

(執筆:フジテレビ社会部警視庁担当 金子聡太郎)