マイナンバーの有効活用で富裕高齢者にも応分の負担を!

“生涯未婚”避けられないなら社会保障改革が必須

カテゴリ:暮らし

  • 2040年には男性の29.5%、女性の18.7%が結婚していないと予測
  • 労働力減少に伴い、外国人材受け入れは不可避
  • 若者に結婚・出産を促すために必要なこととは

生涯未婚増加が経済に与える影響は大

我が国の生涯未婚率は2015年時点で男性23.4%、女性14.1%まで上昇しており、政府は2040年までに男性29.5%、女性18.7%まで上昇が続くと予測している。このため、今後の生涯未婚増加に伴う人口減少は、日本の経済社会へ多くの影響を及ぼすことが予想される。

50歳時の未婚割合の推移と将来推計 ~内閣府HPより~

実際、政府の推計によれば、2014年に6,351万人だった就業者は、経済成長と労働参加が適切に進むケースでも2030年に6,169万人(2014年比▲3%)、経済成長と労働参加が適切に進まないケースに至っては同5,561万人(同▲12%)まで落ち込む計算と予想されていた。

資料出所:2014年実績値は総務省「労働力調査」、2020年及び2030年は(独)労働政策研究・研修機構推計

つまり、生涯未婚増加に伴って労働力人口の減少が続けば、高齢者、女性、若者だけで人手不足を補うことは難しく、最終的には積極的な少子化対策により出生数を増やすか、外国人労働者の受け入れを更に増やす動きが出てくることになるだろう。

更なる外国人材受け入れの可能性

外国人労働者を受け入れる動きはさらに強まるだろう

特に外国人労働者については、第一次産業や第二次産業を中心に日本の労働者と代替的な関係ではなく、むしろ補完的な関係にあり、人手不足を埋める形で就労していることがデータで裏付けられている。

中でも地方では、外国人労働者により人手不足の緩和が期待されているため、生涯未婚の増加により人口が減少する中では、経済活力の維持のために外国人労働者の受け入れを更に強化する動きが強まることになろう。結果として生涯未婚の増加は、外国人材の社会的受け皿の整備を通じて、外国人材の就労機会の更なる拡大を促すことになるだろう。

給付と負担のバランスの取れた制度設計を

内閣府HPより

一方、生涯未婚の増加に伴う少子高齢化の進展を背景に、我が国の社会保障関係費は年々増大しており、2019度予算では33兆円を突破、一般歳出に占める割合も44.8%まで達している。近年、年金・医療・介護それぞれの分野で社会保障の歳出削減がなされてきたが、それでも社会保障給付費の増加は避けられていない。政府が昨年5月に公表した予測によると、2040年度の社会保障給付費はGDP比で23.8~24.0%(188~190兆円)と2018年度の同21.5%(121兆円)から増加する見通しである。

また、年金における世代別の給付と負担の関係では、依然として世代間の格差が存在すると試算されている。今後、生涯未婚の増加に伴い、少子高齢化が更に進展すれば、現役世代への負担が一層高まることで、世代間の不公平が大きな問題となるだろう。

このため、生涯未婚の増加に伴い人口減少や少子高齢化が進めば、我が国の社会保障制度を持続可能なものにすべく、給付と負担のバランスの取れた制度に作り直す圧力が強まることになるだろう。具体的には、膨張する社会保障費を現役世代の負担や将来世代の負担となる財政赤字を中心に賄うのではなく、マイナンバーを有効活用して所得や保有資産の大きい高齢者にも応分の負担を求める動きや、社会保障費の増加を更に抑える歳出削減がより進むことになろう。

若者の雇用対策の改善が必要

雇用所得環境を改善すれば若者の結婚・出産も増える

生涯未婚増加を抑制する対策としては、若年層の雇用所得環境の改善が必要になるだろう。経済基盤が安定すれば、将来の展望を描くことが可能となり、結婚・出産行動に踏み切る若者が増える可能性がある。従って、若者の雇用所得環境の改善が進めば、生涯未婚率増加の抑制を通じた少子化対策にもつながることが期待される。このため、若年雇用対策を少子化対策の一環として捕らえ、予算措置を含めた積極的かつ集中的な取り組みが喫緊に求められているといえよう。

特に、就職氷河期に直面した非正規労働者の正社員化やニートの職業的自立を促進することが重点課題である。具体的には、都道府県が主体的に設置する若者の就労支援をワンストップで支援するジョブカフェや、ハローワークによる常用就職支援やトライアル雇用の更なるてこ入れ等も含めて、新卒一括採用に偏らず、若年層の多様な入職経路をより活性化するような政策が求められる。

少子高齢化に伴う人口減少社会を迎えている我が国にとって、若年層の雇用所得環境改善は生涯未婚の増加抑制を通じた少子化対策としても重要であることからすれば、官民挙げての更なる積極的な職業訓練や職業紹介の推進が求められることになろう。

【執筆:(株)第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 永濱 利廣】

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