忘れた記憶が「めまい薬」で回復する? 認知症治療に光明か

  • 東京大学・北海道大学・京都大学などの研究チームが実験成果を発表
  • メニエール病などのめまい治療薬「メリスロン」が記憶力回復に効果
  • 認知症治療薬の開発に期待が高まるが、服用には注意が必要

年齢を重ねるごとに誰もが低下していく、記憶力。
最近、物忘れがひどくなったと心配になることはありませんか。

東京・巣鴨で取材をすると、60代の女性は「すごく忘れっぽいですよ。何かを取りに来ようと移動した途端、何を取りに来たか忘れちゃうことがあります」と話す。
さらに、80代の夫婦に3日前の朝食は何だったかと聞くと、「3日前というと何日?朝ごはんは…」と記憶をたどる妻に対して夫は「おかゆ」と答えたが、「おかゆは昨日です」と指摘されてしまった。

そんな皆さんに朗報だ。
東京大学や北海道大学、京都大学などの研究チームが、世界で初めて「忘れた記憶を復活させる実験」に成功したというのだ。

記憶力の回復に効果が認められたのは、ある意外な薬だった。それは、めまいの治療薬として使われている「メリスロン」

このメリスロンについて、スエヤス調剤薬局 文京店の島田淳史管理薬剤師は、「メニエール病などのめまいなどで使われる薬。どこの薬局でも用意はあると思う」と話した。
記憶力回復の効果を聞いたことがあるかと聞くと、「なかったです。驚きました」と語った。

「忘れた記憶を元に戻せることが分かった」臨床応用を検討

実験は、20代を中心とした38人の参加者に128枚の写真を見せて、1週間後にどれだけ記憶できているかをテストする方法で実施。
メリスロンを飲んだ場合と飲まなかった場合で、正解率を比較した。

薬を飲んだグループでは、脳内の情報伝達に関わるヒスタミン神経が活性化し、忘れていた写真を思い出すケースが増え、正解率が上昇したという。

北海道大学大学院薬学研究院の野村洋講師は、「成績が悪いグループの成績が、おおよそ2倍の正解率になることが分かりました。忘れた記憶、忘れたようにみえた記憶であっても、実際には脳の中に痕跡、何らかのものが残っていて、(記憶を)元に戻せることが分かったこと。これが一番画期的でした」と話す。

記憶回復メカニズムの解明で、アルツハイマー病など認知症の治療薬の開発が期待される。

厚生労働省によると、認知症の高齢者数は年々増加していて、2025年には最大で730万人に達する見通しだ。

京都大学の高橋英彦准教授によると、「様々な病気で記憶が思い出しにくい患者さんはおられますので、そういう方々に今後実際に臨床応用ができるのか検討している」ということだ。


「処方目的」以外の服用はNG

倉田大誠キャスター:
効果が期待できるということで皆さんの関心も高いと思いますが、今回の実験はあくまでも医師管理のもと行っているということです。

このメリスロンの使用上の注意を一部抜粋してご紹介します。
例えば、高齢者については生理機能が低下しているため量を減らすことなどが呼びかけられていますし、妊婦や小さいお子さんへの投与は、「安全性は確立していない」と記載されているんです。

メリスロンは処方薬ですので、処方された目的以外では使用を避けるようにしてください。

(「プライムニュース イブニング」1月9日放送分より)