頭から“ビーム”を撃つウミヘビ現る!? 謎の行動を飼育員に聞いた

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  • “ビーム”を出しているように見えるウミヘビの動画が大人気
  • 飼育員「普通は人のようにスーハーと呼吸」
  • 温めている“ウミヘビ動画” もあるらしい

新種!? “ビーム”を出すウミヘビ

いきものの生態は奥深い。
編集部でもさまざまな話題をお届けしてきているが、今回は“ビーム”を出すウミヘビ現る!?

まさかと思うが、神戸市立須磨海浜水族園の公式Twitterアカウント(@sumasui_kobe)の動画をまずはご覧いただきたい。

ウミヘビの頭から、ピピピピ…と放たれるレーザービーム!?

水槽にニョロリと立ち上がったウミヘビの頭から、確かに約20秒ほど撃たれる細かい棒状の“ビーム”。
小さな魚がその中を横切り、その姿はさながら「インベーダーゲーム」のようだが…よくよく見てみると、“ビームの”正体はウミヘビの鼻から出る気泡だとわかる。

動画のウミヘビは「クロガシラウミヘビ」という種類で、水中に住んでいるが爬虫類のため肺呼吸する動物だ。
投稿には「ウミヘビって肺呼吸なんだ…」と驚きの声が挙がるほか、「面白い光景」「なんだか癒される」などのコメントが寄せられ、1万3000件を超えるリツイートで拡散(1月9日現在)。
さらには「ウミヘビーム…」などと“技名”を考えるユーザーも現れるなど、ちょっとした“ウミヘビブーム”を巻き起こしているのだ。

投稿に添えられた水族園からのコメントには「鼻から光線のように(空気を)出す行動は頻繁に行っていない」「肺の中の空気を出しているようだがなぜかはわからない」とのことで、そのミステリアスさも気になるところだ。

白いヘビは幸運を呼ぶ珍しい動物として有名だが、“ビーム”を出すウミヘビも今までお目にかかったことはない。「なぜかはわからない」とコメントしているが、珍しい行動の理由がどうしても気になるので、この動画の撮影者でもある、神戸市立須磨海浜水族園・魚類飼育課淡水チームの笹井隆秀氏に、いろいろとお話を伺った。

普通は「人のようにスーハーと呼吸」

――このウミヘビはどんな生き物?

クロガシラウミヘビは琉球列島以南の沿岸に生息する海生の爬虫類で、コブラ科に属します。主にアナゴや魚類のウミヘビなどの細長い体型の魚を捕食します。
胴体に対して頭がとても小さいです。「黒頭」という和名ですが、頭部が黒くない個体もいます。

完全に海生で、一生で一度も上陸しません。爬虫類の多くは(エラブウミヘビも)卵を産みますが、本種は上陸しないため、(空気が必要な)卵は産まず、海中で仔ヘビを出産します。上陸しないので、陸を歩くための腹板(お腹の鱗。陸生ヘビの多くはこの鱗を上手に使って歩いたり、木に登ったりします。)がとても小さくなっており、縦に扁平な体型をしています。推進力を得られるように、尾はヒレ型になっています。


――この行動はどのくらい珍しい?今までに見たことはある?

今までにも何度か見たことはありましたが、短時間で動画の撮影に間に合わないことが多かったです。種についてはクロボシウミヘビとエラブウミヘビが鼻からポコポコ泡を出す様子は観察したことがありますが、このように勢いよく、そして長時間というのはあまり見た覚えがありません。
日常的に、鼻の穴の入口に気泡を付けていることはあります。


――では、通常はどのように呼吸をしている?

基本的には水面まで浮上して、肺の中の空気を出し、新しい空気を吸って潜ります。水面で呼吸するときは空気を吸って吐いてする音が聞こえることもあります。人のように何回かスーハ―スーハ―することもあります。
また、空気呼吸ではありませんが、皮膚呼吸はしていると考えられます。こちらは勉強不足で、科学的根拠があるかどうか把握しておりませんが…多くの生物が皮膚呼吸を行っているので、たぶんウミヘビもしていると思います。

クロガシラウミヘビでは1時間半ぐらいの間、一度も息継ぎをしないというのはよく見られます。マックスはもっと長いと思いますが、正確に測ったことはありません。


――「空気を吐き出して浮力を調節しているのでは?」「遊んでいるように見える」など、様々な推理コメントが寄せられましたが、これらは正解?

思い当たるものがないわけではないですが、科学的な根拠は全くなく、また、「遊ぶ」という概念が非常に難しいので、コメントはできません。

よーく見ると「鼻ちょうちん」が…

笹井氏によると、ウミヘビが鼻から泡を出すのは今までにも観察されているという。
須磨海浜水族園のスタッフブログにも、仲良く並んで「鼻ちょうちん」を出しているウミヘビの写真がアップされており、特別に珍しい現象ではないそうだ。

しかし、基本的には息を吸い込んだ状態で潜水し、吐き出す時は水面に上がって「スーハー」と呼吸するそうで、水中で「ポコポコ」と小さく泡を出すことはあっても、今回のような勢いの良さと長時間の“発射”は見たことがなかったそうだ。

もしかしたら体の調子が悪いのでは?とも思ったが、全くそんなことはないようで、息継ぎをしにスイスイと水面へ泳いでいく姿で終わるこの動画。
水族園の飼育員でも詳しい理由はわからないという不思議な行動だというから、やはりいきものの生態は奥深い。

“ビーム”を出し終えたウミヘビは息継ぎのためスイスイと水面へ…

ウミヘビを見るときは…「顔つきなどもじっくりと見て!」

――非常に大きな反響がありましたが…

狙って撮ったものではなく、開園準備中にたまたま携帯で撮影しただけのものなので、反響が大きくとても驚いています(うけると思って撮った動画や写真はあまり興味を持ってもらえないことが多いので)。
とてもマイナーで嫌われがちな生きものなので、多くの方に興味を持っていただけてとてもうれしく思っています。当園にお越しの際は顔つきなどもじっくりと見てほしいです。ウミヘビであと2ネタほどは動画の材料になりそうなものがあり、撮影準備をしていますので、ご期待ください。

須磨海浜水族園の公式Twitterには他にも、ウミヘビがぐるぐると絡まってはほどける、なんともクセになる動画など、様々な動物の面白い姿が投稿されている。
ちなみに、この動きも「少なくとも、脱皮の前後に確認されている 」ものだが、その詳細は「飼育員さんが研究中」とのことで、ウミヘビには謎がまだまだ隠されていそうだ。

最後に、そんな面白動画をゲットするコツについても聞いてみた。

芸術点が高い!

――動物の面白い瞬間をとらえるコツは?

日々、じっくりと観察することでしょうか。あとは、いつ面白い行動をするかわからないので、常に防水のポケットカメラを持ち歩いています。


須磨海浜水族園ではこのクロガシラウミヘビのほか、クロボシウミヘビ・エラブウミヘビ・ヒロオウミヘビの3種が展示されており、特にクロガシラウミヘビとクロボシウミヘビは「たぶん、世界中で当園でのみの展示だと思います」とのこと。

しかし1月10日~1月末まで水槽メンテナンスに伴い展示が休止され、再開は2月以降を予定しているとのことなので、会いに行きたい!という方は注意していただきたい。

新年早々に届いた、縁起のいい?レア映像。
ちなみに、須磨海浜水族園は以前、亀にハトが乗った“奇跡の一枚”(「親ガメの背中に子ガメを乗せて…3段目に「え、誰?」“奇跡の1枚”が話題」)が撮られた舞台にもなっている。
「ぜひとも貴重な瞬間を激写したい!」と思った方は、カメラ片手に出かけてみてはいかがだろうか?

「いきものディープランド」をすべて見る!