災害時インフラ最新情報

「PayPay」100億円争奪戦が勃発!“スマホ決済”は将来2〜3社に絞られる

  • PayPayの100億円キャンペーンでスマホ決済が活発化
  • 青森市では、まちぐるみでスマホ決済『オリガミペイ』活用を進めている
  • 現金払いとスマホ決済、どっちがいいか4つの観点で比較

スマホ決済「PayPay」が、12月4日から“100億円あげちゃうキャンペーン”を開始した。

日本のキャッシュレス決済比率は20%(2016年 民間最終消費支出:内閣府「2016 年度国民経済計算」)と、現金払い派が大勢を占める中、9日放送の報道プライムサンデーでは、今スマホ決済を始めるべきなのか?それとも現金払いのほうがいいのか?を検証した。

PayPayのキャンペーンでタダで家電獲得が続出…

12月7日金曜日、大手家電量販店に多くの人が詰め掛けていた。売り上げを聞いてみると「通常の平日と比べると倍ぐらいは上がっていると思います」との答えが。その秘密は会計にあった。

「PayPayでお願いします」

QRコードを使ったスマホ決済「PayPay」。まずお客さんがスマートフォンのアプリを使い、店頭のQRコードを読み取ると支払画面に移行、そして表示された支払ボタンを押せば決済完了。4日にソフトバンクとヤフーが開始したスマホ決済サービスだ。店には「PayPayをやっていたから買いに来た」という客が押し寄せていた。

実はPayPayは総額100億円をお客さんに還元するリリースキャンペーンを打ち出している。さらに今PayPayで買い物をすれば、誰でも2割のキャッシュバックが受け取れる(月5万円が上限)という。

この機を狙って買い物に来た夫婦は「充電器買います。デカいの買うつもりだったんですけど、子供が4時半に帰ってきちゃうから…」と、この日は様々な家電は諦め、1691円の会計をPayPayで。すると、「え!1691円相当の残高ゲット!当たりました!」と喜ぶ声が。

実は40回に1回の確率で、支払い値段が全額キャッシュバックされるキャンペーン(上限10万円)も行われている。

時間がなく、炊飯器などの家電を諦めていたこの夫婦は、「ちょっと後悔してます」と残念な様子。

更には「欲しいものがあって来ているんじゃなく、欲しいものを見つけるために来ています。今1時間ぐらいプラプラしてます」という客は、ドライヤーとハンガーで総額4320円の買い物。この客も全額キャッシュバックでタダとなっていた。

一方、飲食店でも今スマホ決済が広まっている。もちろん飲食店でもPayPayで支払えば2割引き。498円の生ビールは約100円のキャッシュバック。1580円の刺身盛り合わせも、約320円のキャッシュバック。東京・墨田区の商店街でもPayPayのシステムが導入されていた。

今回のキャンペーンでは、店頭で安くなった分はPayPay側が全額支払う仕組みだ。100億円分が支払われたら終了なのだが、なぜここまで大きなサービスなのだろうか?
神戸大学大学院教授の森井昌克氏は「今いくつもスマホ決済の形式が出ている中、スマホ決済でトップに立ちたいと思っている」と解説した。

“スマホ決済”戦国時代 青森で実証実験開始のワケは…

PayPayをはじめ、今や10社を超える企業がスマホ決済業界に参入。まさにスマホ決済の戦国時代だ。
そんな中、報道プライムサンデーのスタッフは東北地方のある都市に向かった。そこはスマホ決済の街だった。最大50%OFFのサービスもあるという。

やってきたのは青森駅。改札口のすぐ目の前に巨大なスマホ決済システムの広告が…。
「オリガミペイ」はQRコードを使用したスマホ決済を日本でいち早く展開したパイオニア。青森では自治体・商工会議所・JR東日本がオリガミペイと組み、12月1日から、青森市を中心に「街全体」をスマホ決済化する実証実験をスタートさせた(最大割引1000円、利用は期間中最大3回)。

例えば、青森市の市営バス。バスの案内所で販売されている1日乗り放題チケットをスマホ決済で販売。実証実験期間中は50%OFF!
さらに青森駅に直結する駅ビルを見てみても、各店舗にオリガミペイが導入されている。売り場では「お釣りとかのやり取りがないので非常にスムーズにお客様の会計が進むのと、ほとんどiPad一つで全てが完結するから、釣銭を入れる所もいらない」と好評の声が聞こえた。

導入しやすさも手伝い青森市では300近い店舗がスマホ決済を導入。地元特産品を取り扱う土産物店も、IT技術とは縁が無かった町場の食堂もスマホ決済を導入し、「楽ですよ、会計が楽。ピッとしたらパッですから。ピッたらパッだもん」と笑顔で語った。

さらに驚くのは、新鮮な青森の海産物が並ぶ市場でもスマホ決済が導入されていたことだ。
ここの人気商品は、熱々のご飯を受け取り、あとはズラッと並ぶ海鮮の中から好きな物を選んで豪快に乗っけて食べる「のっけ丼」。観光客にも大人気のこの海鮮どんぶりの支払いもスマホ決済で、実証実験期間中は50%OFFだ。

町ぐるみでスマホ決済を導入する青森。その最大の狙いを青森商工会議所地域振興部・鈴木匡部長に聞いてみると、「外国人の方、特に中国の方々は現金を使わないキャッシュレス化が進んでいるので、こういうサービスがあると便利なのではないかと」と言う。
スマホ決済が広く普及する中国からの観光客を取り込むため、オリガミペイは中国の大手スマホ決済システム「アリペイ」と提携し、インバウンド獲得に期待を掛ける。

だが一方、海鮮どんぶりを購入した国内の観光客や、近隣住民はほとんどが現金払い。ようやくスマホ決済をする人を見つけ、話を聞くと今回利用したのが初めてだという。「安くなってよかったです」というが、今後もスマホ決済を利用するかと聞くと、「私は現金派なんで、いつもニコニコ現金払い」との答えが。また東京・丸の内で飲み会をしていた女性たちにも聞いてみると「スマホ決済って使っちゃうじゃん、知らず知らずのうちに。現金の方が使ったわーみたいに実感わくよね」と現金に対する信頼感を語っていた。

現金払い、スマホ決済、どっちがいいか比べてみた

“現金払い”と“スマホ決済”の果たしてどちらがいいのだろうか。スマホ決済に詳しい神戸大学大学院の森井昌克教授に話を聞いた。
スマホ決済の事業者はPayPayやオリガミペイだけでなく、主なものだけでも20近くあり、さらに来年以降、新たな事業者が続々サービスを開始する予定だという。

PayPayの今回のキャンペーンの狙いについては、「PayPayは後発組。その中で話題作りということで、今回の100億円キャンペーンが行われました。ヤフー、ソフトバンクがバックにあるんですけど、実は100億円くらいはたいした金額ではないんですね」と解説する。

では、現金とスマホ決済のどちらがお得なのか、『利便性』『コスト』『安全性』『災害トラブル時』4つの観点から見ていく。

『利便性』
現金:◯ スマホ決済:×


現金は手元にあれば、すぐに使えるため◯だ。一方で、ATMに行かないと現金は手元に入らないという不便な面もある。一方スマホ決済は、以下のように使用するまで手間がかかる。

《PayPayの場合》
1.アプリをダウンロード
2.携帯番号やパスワードなどの個人情報を入力
3.銀行口座やクレジットカードを登録して、お金をチャージ
さらに支払いをする場合はお店に行き、アプリを立ち上げ、スマホに表示されたバーコードか、QRコードを出して、店側に読み込んでもらう。これが一つの方法だ。

もう一つの支払い方法が、お店にあるQRコードをスマホで読み込んで決済する方法。
1.アプリを起動
2.QRコードをかざして読み取り
3.支払う金額を入力し、支払い
4.店員が確認

番組のファシリテーターのパトリック・ハーラン氏は「思ったより手間がかかるんですね。一人20秒だとしても、10人列があったら数分かかりますね」と驚いた一方、ジャーナリストの有本香氏は「慣れてるとそんなに面倒という感じもしない。アプリのダウンロードもそれほど大変ってことではないですよね」と話した。

『コスト』
現金:× スマホ決済:◯ 


森井教授によると、ATMを維持するコストは非常に高く、1台につき数千万円かかっているという。また、警備員を雇うコストなどもかかり、銀行はATMを減らしたいと考えているという。実際に銀行の顧客である私達がそのコストを支払うわけではないが、結局そのコストの負担が利用者のものになるため、今でも安くないATMの手数料が、今後上がることも考えられるそうだ。

一方、スマホ決済のコストは、客側は基本的にはスマホがあればよく、店側もQRコードを掲げておけばいいため、手間が非常にかからないという。そのため、結果として値引きにもつながるそうだ。

スマホ決済でもリスクが…

『安全性』
現金:× スマホ決済:△


現金の場合は持ち運びの時に、盗られてしまうリスクを森井教授は指摘する。一方でスマホ決済の安全面では、例えば会計前にスマホ決済のバーコード画面を背後から盗撮され、決済をする前に盗撮する側が使用すれば、先に買い物が出来てしまうというリスクがある。

さらに海外では、フィッシングサイトに飛ぶようにQRコードを作ってしまうという事例や、中国などでは、夜店舗に忍び込み、QRコードを張り替えて自分の口座に振り込む事例もあったという。

『災害トラブル時』
現金:△ スマホ決済×


スマホ決済は通信障害があると使えなくなってしまう。12月6日に起きたソフトバンクの通信障害でも、スマホ決済は使えなくなってしまった。一方で現金は使用できるが、災害トラブル時などでは、燃えてしまったり、ATMでおろすことができなくなる問題も起きてしまった過去がある。

キャッシュレス決済は他にも…何がお得なのか?

この他のSuicaや楽天Edyなどの電子マネーと、クレジットカードなどの決済方法はどうなのだろうか。

まず『災害・トラブル』から比べてみると、電子マネー・クレジットカードどちらも停電に弱く、「×」だと森井教授は指摘する。
『利便性』に関しては、電子マネーはかざすだけで決済可能なので「◎」。一方でクレジットカードは、加入するときの審査など契約のハードルが高く「△」だ。
『コスト』の面では、クレジットカードが「×」、電子マネーは「△」。その理由は、電子マネーは約3%、クレジットカードは3~7%になるという手数料にあると森井教授は言う。

「小売店側が手数料を払わなければいけないですし、小売店側は装置が必要になるんですね。その初期投資を小売店側が負担しなくてはいけない。そのコストを負担するのは小売店側ですが、結局そのコストが消費者に向かってくるんですね」

クレジットカードや電子マネーでは小売店側が初期投資を負担…

こうしたコストがあることから、電子マネーやクレジットカードは大型店向けの仕組みになり、スマホ決済はコストがかからないため、小型店向けの仕組みになると考えられるという。

『安全性』はどうなのだろうか。
電子マネーは、入金できる金額に上限があったりするのでそういった点から「△」。クレジットカードは「◎」と森井教授は指摘した。

「クレジットカードはよく不正利用されているんですね。日本でも年間200~300億円不正に盗られている。ですけれども、補償があるんです。消費者からみると、補償してくれるので安全です」

そのため、クレジットカードは高額な決済に向いている。一方で、電子マネーやスマホ決済は少額決済向きということになる。さらに、「上限が決められているのは、あまり高くない金額で使ってほしいという意図があります」と解説した。

ちなみにスマホ決済ではクレジットカードから入金の場合もあり、この場合は補償も考えられるという。トータルで見ると、キャッシュレスが進んでいく流れがあるようだ。

神戸大学大学院・森井昌克教授

一方で、課題は無いのだろうか。森井教授は「スマホ決済などをすると、誰が何を買っているかが、決済会社には分かりますので、その人の生活経済が分かっちゃうというのがあるんですね。それが漏れると大変なことになります」と、情報漏洩の恐れを課題にあげる。
その消費行動を利用して、ピンポイントで広告を打っていく可能性もあるが、怖いのは悪用される可能性で、詐欺に使われるような場合もあるという。


上記図のように、様々な決済方法を見てみると、「◎」が1つ、「△」が2つとなった電子マネーに軍配が上がったように見えるが、電子マネーは世界的にはそれほど利用されておらず、日本でガラパゴス化してしまっている側面があるという。

森井氏はさらにキャッシュレス化が進む現状について、「消費税増税に合わせて、政府がキャッシュレス化を後押ししている面もあります。東京オリンピックなどでは、海外の人もやってきますが、現金をあまり使いませんから、小売店が特にスマホ決済に向いていくということで、後押しをしているんですね」と解説した。

“スマホ決済”戦国時代 消費者はキャンペーンを狙え!

これだけあるスマホ決済の手段だが、今後を考えると、スマホ決済の事業者が1年後には2~3社に絞られると、森井教授は予想している。

森井教授:
逆に2~3社にならないと、利用者が使うのに大変になりますよね。小売店側も同じで、事業者が少なくなるのは当然のことです。だからPayPayをはじめ、いろんなところがキャンペーンをしています。これからもっと多くなるでしょう。今どれだけお得かということで、スマホ決済を使うというのは一つの考え方ですね。

パトリック・ハーラン:
やるならいつですか?

森井教授:
やるなら今ですね。

パトリック・ハーラン:
『今でしょ』でしょ(笑)


スマホ決済は戦国時代を迎えている。また、キャッシュレス決済といってもいろんなものがある。消費者としては何をどういう場で使うのが適切かを知り、賢い買い物をしていくことが必要になってきているようだ。

(報道プライムサンデー 12月9日放送分より)