出鼻くじかれレア対応も 安倍「全員野球内閣」の行方は

【リアル首相動静】

カテゴリ:国内

  • 沖縄県知事選で敗北の翌朝、官邸側はぶらさがり取材「NO」 待ち受ける記者団に安倍首相は…
  • 第4次安倍改造内閣発足 石破派・山下貴司氏を法相に起用「全員野球」なるか 
  • 訪朝前のポンペオ米国務長官との会談でハプニングが…

総裁3選直後の選挙で”大敗”

9月30日に行われた沖縄県知事選挙。政府が進める米軍普天間基地の名護市辺野古への移設問題などが争点となる中、「オール沖縄」が支援する玉城デニー氏が、政府与党が支援した佐喜真淳氏を約8万票差で下しました。

 自民党総裁選で安倍首相が3選した後、初めての大きな選挙で、菅官房長官や二階幹事長、小泉進次郎氏ら政府与党の大物・人気者が多数応援に入ったにも関わらずのこの敗北は、安倍首相とっては出鼻をくじかれる結果となりました。

沖縄県知事選に当選した玉城デニー氏(9月30日)

翌10月1日、知事選の結果に関する安倍首相の受け止めを聞こうと、私たち総理番記者は朝の出邸時のぶら下がり取材を要請しました。しかし、官邸サイドからの返答は「NO」。それでも記者団は、ダメ元で声掛けを決行しました。

声掛けに急きょ対応 そのワケは…

すると意外なことが起きました。声をかけられた安倍首相は、これに応じず通り過ぎるかと思いきや、カメラの前で足を止め、「選挙の結果は政府として真摯に受け止めて、今後、沖縄の振興、そして基地負担の軽減に努めてまいります」と述べたのです。

記者団に声をかけられ応じる安倍首相(10月1日)

総理番からのぶら下がり要請を、官邸サイドが事前に断った場合は、声かけを決行しても安倍首相が答えることは稀で、今回の対応はやや驚きでした。

その背景には、政府与党として全力で選挙戦に挑んだにも関わらず大敗と報じられる結果となった重みや、今後の沖縄との関係を考えれば何もコメントしないのは印象がよくないという判断などがあったと考えられます。

ただ安倍首相は、コメントした後、記者団が続けざまに「辺野古については?」と質問したのに対しては答えず、足早にエレベーターに乗り込みました。辺野古への移設問題については、政府関係者が「反対派が勝てば大変」と懸念していた通りの結果となっただけに、今後も安倍首相にとって難しいかじ取りが迫られることを象徴する場面でした。

第4次安倍改造内閣発足・・・石破派起用サプライズは“諸刃の剣”?

10月2日、安倍首相は内閣改造を行い、第4次安倍改造内閣が発足しました。菅官房長官や麻生副総理ら、いわゆる政権の「土台」を堅持する一方で、実に12人もの新大臣を起用し、内閣の顔ぶれは大きく変わりました。

この中でも最大のサプライズとなったのが、総裁選で戦った石破元幹事長率いる石破派に所属する山下貴司氏の法務大臣への起用です。

法相に起用された山下貴司氏(10月2日)

総裁選の期間中、安倍首相は出演したテレビ番組で、人事について問われると「適材適所」という言葉を繰り返し述べる一方、「挙党体制」については、「派閥均衡型」になるとして否定的でした。これを受け一部の社は、「石破派から閣僚起用せず」と報じるなど、“石破派はずし”が行われるという観測もありました。

そうした中での石破派の山下氏の起用。確かに、山下氏は検事出身であり、法律の専門家で「適材適所」の面はありますが、当選回数わずか3回の若手でもあります。ではなぜ起用されたのか。

安倍首相は、石破氏自身を要職に起用する意向は当初からなかったものの、石破氏が総裁選の地方票で健闘とされる約45%の票を獲得したことを受け、石破陣営の議員を閣僚にまったく入れないことに対する批判などを懸念したものとみられます。

そこで、「適材適所」の度合いの高い山下氏を起用することにより、形としての「派閥均衡」を整え一定の党内融和を図ると同時に、世論の批判を回避することを狙ったとみられます。

ただ、当選3回の山下氏を起用したことは、他に入閣適齢期のいた石破派からは派内の切り崩しだと見られ、党内の他の入閣待機組の不満をも募らせる恐れのある「諸刃の剣」の人事です。

会見で「全員野球内閣」アピールの背景は

さらに安倍首相は内閣改造後の記者会見で一人一人の閣僚の起用理由を述べ「適材適所」をアピールした上で、次のように述べました。

「いぶし銀の人材が自民党にはたくさんいます。地道に能力の研さんに努めてきた皆さんにできるだけ多くのチャンスを作っていくべきだと考えました。いわば明日の時代を切り開くための全員野球内閣です」

新内閣発足後の安倍首相の会見(10月2日)

そこには総裁選で安倍首相を支持した派閥の入閣待機組を処遇する「論功行賞人事」だとの批判を予想し、先手を打って適材適所・全員野球をアピールし、批判を抑えたい安倍首相の戦略が見て取れました。ただ本当に適材適所だったかがわかるのは、これからです。

ポンペオ長官との会談でプチハプニング

10月6日、安倍首相は、北朝鮮訪問を控えたアメリカのポンペオ国務長官と官邸で会談しました。この中で安倍首相は「北朝鮮について拉致問題、核・ミサイルの問題について日米で緊密なすり合わせを行いたい」と述べました。ポンペオ氏も「同じ意識で取り組む必要がある」と応じ、両者は北朝鮮をめぐる日米の連携を確認しました。

ポンペオ米国務長官との会談(10月6日・首相官邸)

実はこの会談の冒頭に、ちょっとしたハプニングがありました。

ポンペオ氏が待つ部屋に安倍首相が入り握手。そして両者が椅子に座って冒頭発言をしようとした瞬間、外国の記者が安倍首相に対し「ポンペオ長官に対し訪朝前に何かアドバイスはあるか?」と英語で声を掛けたのです。

外国ではたまにある光景ですが、日本ではこうした会談の冒頭撮影で記者が質問することはマナー違反となっています。

それを知らない記者が質問したと見られ、安倍首相も思わず苦笑い。両手でそれを制するような仕草をし、「ノーセンキュー」と笑顔で返しました。

ハプニングをサラッとかわした安倍首相ですが、出方のわからない北朝鮮への対応は、サラッとはいかない極めて難しいものとなりそうです。

(フジテレビ政治部 総理番 梅田雄一郎)