豪雨被害から3か月~もう同じ場所には住めない…大家族の苦悩

カテゴリ:地域

  • 広島豪雨災害から3か月、4世代8人の大家族の避難生活に密着
  • いつ再び大雨災害があるかわからない、同じ場所には家を建てる気になれない 
  • 不安を抱えながら生活再建に歩みだす大家族の軌跡

大家族の苦悩

10月7日で広島は豪雨災害から3か月を迎えた。
県内の犠牲者は109人。行方不明者は5人にのぼり、現在も53人が避難所での生活を余儀なくされてる。
日々の暮らしに不安を抱えながらも生活再建に向けて歩む家族を取材した。

広島市安芸区矢野地区で被災した土井俊広さん一家。
土井俊広さん(57)と妻、真由美さん、80歳代の土井さんの両親、土井さんの長男、貴広さん夫婦とその子供、土井さんの次男、雅也さんの大家族。“ひとつ屋根の下”で暮らしていた、賑やかで笑顔あふれる幸せな生活は、あの日を境に一変した。

7月7日、4世代が暮らす土井さんの自宅前の県道は一夜にして川と化した。
自宅前の矢野川が氾濫し1階は完全に土砂で埋まってしまったのだ。当時の様子を土井さんは、このように語る。

「車が流されたって見た時に大変だった。女房が(私が)今から帰るといった時、帰ってきたら死ぬから帰ってくるな。」と、言った。

生活再建のため、家族総出の自宅の片づけの日々が続いている。
あの日、自宅に居たのは俊広さんの妻、真由美さんと土井さんの両親。水が迫りくる中、3人は無我夢中で2階へ避難した。

妻・真由美さん
「あの日まで毎日、普通の暮らしだった。この家はこんな状態なので、もう戻ることができないので不安です。」

この日、片づけをしている次男の雅也さんが、土砂の中からあるものを見つけた。
土砂にまみれた、祖父の財布。祖父の財布の中から5千円札を手に取り泥を洗い流していた。

次男 雅也さん
「祖父が、普段から使っている財布。今からお金がだいぶ必要になるのでちょっとでも足しになれば…」と話す。

長男の貴広さん(26)歳には、気がかりなことも・・・
現在、避難所暮らしをしている家族。妻の美紗織さんが9月に出産を控えているのだ。
しかし、避難所では、家と違い、夜中にちょくちょく目が覚めてしまい熟睡できないという。

7月20日 
豪雨から2週間が経ち、1200人が避難生活を送る中、無償で半年間借りられる仮設住宅の受付が始まった。

土井俊広さん
「何とか、家族全員で住める場所がないかな…というところで説明を聞きに来ました。」
しかし、仮設住宅で大家族が住める場所を探すのは簡単ではない。


8月4日 
長男 貴広さんの長女、陽葵(ひなた)ちゃんが避難所で2歳の誕生日を迎えた。
デリバリーのピザをほおばりながら、長男、貴広さんは…
「避難所に来て、一番楽しいひと時だね…」
豪雨から約一か月、久々に大家族に笑顔が戻った瞬間だった。

自宅解体…その次に来るもの

その後、自宅は「大規模半壊」と認定されたため1世帯あたり100万円前後かかると言われる解体費用は市が負担することになり、家の取り壊しが始まった。

土井さんは、この作業を複雑な思いで見守っていた。
「もしあの豪雨がなければ、まだここに住んでいた。怖いよね…ここに家を建てるとなったら、また同じことが起きないとは限らない…」

8月25日
長男・貴広さんの妻・美紗織さんが、無事出産。
美紗織さん
「強い子なんで強くなってほしい。みんなを支えてくれた。あったかい子になってほしい」
あたたかく強く羽ばたいてほしいという想いを込めて「陽翔」と名付けられた。

8月31日
避難生活から約2か月。ようやく家も見つかり引っ越す日が来た。
同じマンションに住めることになったものの、これまで通り「ひとつ屋根の下」というわけにはいかない。
土井さん夫婦と高齢の両親は1階で、長男、貴広さん家族らは3階で…災害をきっかけに住まいは別々になった。

マンションに引っ越しを終えた土井俊広さんは、少し、安堵しながらも、まだ残る将来への不安をこう語った。
「新しい生活を始めてここに慣れてきたらまたいろいろ考えることも違ってくる。(自宅の)土地をどうするかも考えないといけん。但し、あそこに家を建てるのは、とてもじゃないけいどその気にはなれない。今すぐどうこうは考えられない。今からおいおい考えていかないと…」

「新しい生活を始めてここに慣れてきたら、またいろいろ考えることも違ってくる(自宅の)土地をどうするかも考えないといけん。あそこに家を建てるのは、とてもじゃないけいど、その気にはなれない。今すぐどうこうは考えられない。今からおいおい考えていかないと…」

土井さん家族の生活再建は今、始まったばかりだ。

(TSSプライムニュース 10月5日 放送分より)

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