平成の間に「公園」が変わった…減った遊具と増えた遊具

カテゴリ:暮らし

  • 平成の間に、急激に減った公園遊具は「箱ブランコ」
  • 平成の間に、急激に増えた公園遊具は「健康器具系施設」
  • 遊具の材質も変化しているのか聞いてみた

休日や学校終わり、多くの子供たちで溢れている公園。
すべり台・ブランコ・ジャングルジム・シーソー・鉄棒など、数々の遊具がお金も払わずにいくらでも遊べる空間は紛れもなく憩いの場だ。

・思いっきり走り回る
・泥だらけになって遊ぶ
・ブランコで靴を遠くに飛ばす

家の中ではできないことができる公園で遊んだ思い出は、誰もが持っていることだろう。
ただ、そんな公園のイメージも変わりつつある。
公園の遊具で昔あったものがいまでは見かけなくなったと感じることはないだろうか。
実は、平成の30年間で、公園の遊具は大きな変化を遂げてきた。

平成の間に減っていった遊具

最近ではあまり見かけなくなったこちらの遊具、ご存知だろうか。
“箱ブランコ・ゆりかごブランコ”などの呼称で知られており、かつては日本全国の多数の公園に設置されていた。

向かい合ったベンチが鎖で吊るされていて、複数人が向き合うように座ることで、互いの重みにより揺れる遊具だ。しかし、前述の通り、この「箱ブランコ」が日本の公園からどんどんとその姿を消している。

全国の都市公園等における遊具等の設置状況・箱ブランコ(国土交通省調べ)

具体的なデータとして、国土交通省が平成10年(1998)から調査している「全国の都市公園等における遊具等の設置状況や安全点検の実施状況等」によると、1998年には14,198あった箱ブランコが、2013年には1,864にまで激減、その数は15年間で約10分の1にまで減っていた。

特に数値の差が著しいのが、2001年から2004年にかけての3年間で、このわずかの間に約1万台もの箱ブランコが撤去されている。
いったい、なぜなのか。国土交通省の担当者に聞いてみた。

「箱ブランコは危ない」

ーー箱ブランコが撤去されるようになっているのはなぜ?

やはり“箱ブランコは危ない”ということが挙げられるかと思います。
約15年くらい前に、箱ブランコによる事故が頻発した時期がありまして、箱ブランコはとても大きなものですから、子供・大人関わらず、当たった時の衝撃であったり、地面との挟み込みが懸案されていました。

そこで各自治体等とも話し合い、安全重視を第一に考えた結果、撤去に至る公園や施設が増え、このようなデータ結果になりました。


ーー2001年から2004年の間に、一気に1万台も撤去されているのはなぜ?

その当時(2001年~2004年)に、箱ブランコによる重大な事故が発生した為です。各自治体等もそうですが、箱ブランコを設置していた公園の近隣に住まわれる親御様の方々からも意見や要望が寄せられ、撤去に至ったケースが多く見られました。

平成の間に増えていった遊具

そして、そんな箱ブランコとは正反対に、調査の度にその数を圧倒的に増やし続けている遊具もあった。それが「健康器具系施設」だ。

全国の都市公園等における遊具等の設置状況・健康器具系施設(国土交通省調べ)

1998年には5,690しかなかったものの、2013年には26,362となっており、15年間で約5倍も設置数を増やしていることが分かる。しかし、そもそも「健康器具系施設」とは何なのだろうか。

「公園は子供の遊び場」から変化

ーー健康器具系施設とは?

たとえばですが、「懸垂」「背伸ばし」「足ツボ」などが健康器具系施設と呼ばれるものです。フィットネス、健康状態になるための運動ができる遊具を指して使っております。


ーー箱ブランコとは違い、その数を飛躍的に伸ばしているのはなぜ?

以前まで、「公園は子供の遊び場」というイメージが強かったと思いますが、少子高齢化の背景もありまして、公園を高齢者が利用する機会がとても増えました。そこで、子供や高齢者問わず、多様な世代に公園を利用してもらうため、多くの層にニーズがあると思われる、こういった健康器具系施設が増えたものと考えられます。

一方、こうした公園遊具の推移を、実際に公園の遊具をつくっている側はどう見ているのだろうか。日都産業営業部の橘隆行さんに話を聞いてみた。

ーーこれまでに手掛けた遊具の中で、撤去されたものは?

一般社団法人 日本公園施設業協会の安全保障(案)策定に従い、都市公園に設置するにはふさわしくない遊具として、「椅子ブランコ」を撤去しました。
その理由は、以下の通りです。

・揺動部自体が重いもの
・揺動部と接地面などの間に、利用者の生存空間が確保できないもの
・揺れ幅が大きく、容易に制御できない状態になるもの
・定員制限が難しく、過剰人数で利用されやすいもの


これらに当てはまる遊具として、製造を中止しました。椅子ブランコ以外に、一部の「回旋塔」や「遊動木」も挙げられます。尚、よく誤解を受けますが、球体の「回転ジャングルジム」は危険とは見なされていません。

回転ジャングルジム

遊具の材質は変化している?

ーー安全性の観点で、遊具の素材を鉄から樹脂・プラスチックに変更したことは?

素材として塗料については、都条例の「亜鉛についてのガイドライン(2002年)」に従い、無鉛化(低鉛塗料)の塗料を使用しています。遊具の基礎コンクリートの地下埋没化も、2002年の安全基準策定において改訂しました。

当社は主に、鉄製品を扱う遊具メーカーですが、鉄鋼素材で危険と判断されたことはありません。日本においては、野ざらしの公園の中で比較的安価で、加工も容易な素材です。また、耐久性も高く、湿度の高い日本では十分適合した素材だと思います。現在では、素材を適所に使い分けてもいます。

鉄は造形性・軟質性等について、成形(ポリエチレン)素材に比べ魅力に欠けますが、構造材としての魅力は今もあります。


日本公園施設業協会にも話を聞いてみたところ、公園の遊具における材質自体は、明治・大正・昭和・平成を通して変化はしてきたものの、材質による危険性を考慮して変化したものではないということだ。

公園遊具の元々は、海外輸入による木製から始まり、金属製・コンクリート製を経て、再び木製になり、今では鉄とプラスチックを組み合わせたものなど、多種多様につくられている。それぞれの材質は、加工や管理のしやすさ・耐久性などを考慮して、各自治体やメーカーが決めているという。


確かに、公共の遊び場である公園から、危険な事故が発生しうる遊具が減っていくのは時代の流れだろう。
だが、子供の時に、設置されてある遊具から様々な遊び方を創造していたのも事実で、あまり過剰になりすぎて遊具がなくなっていくのはなんだか寂しい気もする。

平成の次の時代、公園はどのように変わっていくのだろうか。