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正恩氏ブチ切れ、粛清に怯える幹部たち

カテゴリ:ワールド

  • 「無責任、無能力、なっていない」・・・視察の先々で激怒
  • 内閣から党幹部まで聖域なき批判・・・大量粛清の予兆か
  • 9月の建国70年記念日までに成果を・・・経済再建に焦り

正恩氏が視察先で「大激怒」

厳しい表情で幹部らに指示する金正恩委員長。
幹部らはうなだれ必死にメモを取っている。
金正恩氏の視察と言えば満面の笑みを浮かべ、労働者や兵士の業績に「大満足」するのが恒例のはず…。
一体何が起きたのか?

北朝鮮メディアが17日に報じた咸鏡北道視察では、正恩氏の激怒ぶりがこれでもかと報道された。訪問先は8か所。水力発電所やホテルの建設現場、温泉休養所、カバン工場などいずれも経済建設に関わる場所だ。

まず訪れたのは、祖父・金日成主席が建設を指示したものの、30年以上たっても完成していない発電所だった。
「なぜこうなるまで内閣が対策を立てなかったのか。理解できない。言葉がない」
「(責任者は)建設現場には一度も訪れないでおきながら、竣工式には図々しく顔を出す」
「内閣に任せておいたら代が変わっても完成が見られないだろう」

激怒した正恩氏は、内閣だけでなく、経済指導機関の責任者、党中央委員会や組織指導部の担当部署にも問題がある、と批判の対象を拡大した。

カバン工場では、設備がみすぼらしいことに腹を立てた。
「党の方針を執行する態度が非常に誤っている。」
怒りの収まらない正恩氏は、工場の建設当時の地方の担当者から党中央の担当部署まで「厳重に問責して調査せよ」と指示した。

続いて訪れた休養所では、「風呂場の浴槽が汚く、養魚場の水槽よりひどい」と叱責。
ホテル建設現場では、「建設をズルズル引き延ばすのは非常に良くない」と、行く先々で不満を爆発させた。

粛正も?・・・怯える幹部たち

金正恩氏は以前も、平壌郊外のスッポン養殖場を視察し、激怒したことがある。その際は、工場の責任者に批判が集中したが、今回は内閣や党幹部の経済部門の担当者にも怒りの矛先を向けた。

これまで、会議で居眠りをした人民武力相や、姿勢が悪いとの理由で副首相を粛清するなど容赦なく幹部らを処刑したとされる正恩氏。
名指しで批判された部署の幹部は、今度は粛清の刃が自分に及ぶのではないかと怯えているに違いない。 

内閣の総責任者である朴奉珠首相をはじめ、発電所建設に関係する建設相や電力相なども連帯責任に問われる可能性がある。それだけではない。党中央委員会の経済担当副委員長や軽工業部長、組織指導部なども名指しされた。たとえ党中枢の幹部であっても責任は免れないことになる。

幹部への不満を爆発させた正恩氏。
経済建設に向けた不退転の決意を内外にアピールすると共に、粛清も散らつかせることで幹部の引き締めを図る狙いがありそうだ。

経済再建に焦り・・・9月建国70年

金委員長は今年4月、核・ミサイル開発から経済建設に総力集中する新路線への転換を宣言した。
6月には米朝首脳会談を実現、中国の習近平国家主席とは3度、韓国の文在寅大統領とは2度の首脳会談も開催し、非核化の意志を表明するなど対話攻勢をかけた。

しかし、経済再建の重い足かせとなっている経済制裁の解除には至っていない。
7月に入ってからは、中朝の境界地帯を中心に経済関連の視察を相次いで実施しているが、目に見えるような成果は出ていない。
9月9日には“建国”70年を迎える北朝鮮。
海外の来賓も招いて大々的な祝賀行事を開催する見通しだ。

正恩氏としては今年最大の記念すべき行事を前に、経済建設で画期的な業績を上げたいという思惑がある。
正恩氏の焦りが、視察での激怒と幹部への叱責を増幅させている。

(執筆:フジテレビ 報道センター室長兼解説委員 鴨下ひろみ)

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