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2020年度“教育改革”を前に悩む子どもの教育…一番大切なのは「情報力」と「導き方」

カテゴリ:暮らし

  • 入試の問題が「教科書に書いてあること」→「世の中」へ
  • プログラミング、英語…習い事に行かせるべき?
  • 親の「情報力」と「導き方」が重要になってくる

2020年度から始まる教育改革。

大学入試制度が変わる他に、まずは小学校からプログラミング教育や英語が始まり、知識や技術だけでなく自分で考えて表現・判断できるような方針へと学校教育が変わっていく。

そこで、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)の著者でもあり、進学塾VAMOS代表の富永雄輔さんに教育改革について話を聞いた。

入試の問題が「教科書」→「世の中」へ

大学入試センター試験は2020年1月の実施がラストで、来年1月からは大学入試共通テストが始まる。

しかし、英語の民間試験の導入や国語と数学での記述式が見送られるなど、受験生にとっては混乱を招く事態になっている。

このように大学入試も変わりつつある中、高校や中学入試も今、変わろうとしている。その変化は「受験勉強と世の中の接点」の結びつきを強めていること。

「今まで受験勉強は教科書に書いてあることを学べば良かった。しかし、最近では世の中で起きていることを子どもたちに問う問題が多くあります。
問題としては面白いのですが、教える側、学校、保護者からしたらとても難しい。なぜなら、24時間全てが受験勉強の対象になってくるから。学校で、塾で、予備校で学び、そこから一歩出た“世の中”という場所も出題の対象になるので、好奇心や興味を持つのは大事ですが、どう子どもに身に付けさせるかがとても難しいです」

学力だけでなく“人間力”も重視

進学塾VAMOS代表・富永雄輔さん

机に向かっているだけが勉強ではなくなっている昨今。こうした背景について、富永さんは「ママ受験生の排除」と「机の受験生の排除」という2つのポイントを挙げた。

「横にママが付いて指導する子どもより、自分で学ぶ、好奇心や向上心を持つ子を、机にかじりついて勉強しているだけといった子どもより、多様性を持っている子を、という各学校の意図があります。学校側は勉強以外に興味を持たない子、というよりは、いろいろな子どもを入れて化学反応を起こしたいと考えているようです」

それは、2020年度から小学校で新しい学習指導要領への対応が本格化することも関連している。新学習指導要領は、知識や技術を得るだけではなく、それをもとに「思考力・判断力・表現力」や学ぶことへの意欲や人間性などを育てることを目指している。

小学校では3、4年生には英語を聞いたり話したりして親しむ「外国語活動」を導入し、5、6年生で英語(外国語)が教科に加わり、プログラミング教育も必修化される。

こうした変化に富永さんは「日本は先進国の中でその技術が劣っているのが現状です。プログラミング教育の導入も間違いではないと思いますが、あまりにも新しいことを一生懸命やろうとしているので疑問を抱く部分もあります。プログラミングを全員、学ぶ必要があるのかなと。全員が一斉に学ぶのではなくある程度、選択制にしてもいいのではと思います。プログラミングを学ぶ時間に他の教科の勉強をした方がいい子もたくさんいます」と話す。

重要になる親の情報・判断力

プログラミングだけでなく今では英語も習い事で触れさせ、学校で学ぶ前から理解している子どもも多くいるだろう。そうなると、教室の中にはゼロから学ぶ子とそうでない子の差が出てしまうのではないかという懸念があるが、富永さんは「親の情報力と的確な判断力が重要になります」と話す。

「まず、2020年度からの教育改革を具体的に知らない保護者も多いです。それは親の情報力の差。こうした話では親の経済力も合わせて論じられますが、私は親の経済力はそこまで変わらないと思っています。世の中では習い事に通わせるなど意外とお金を使っている家庭が多く、お金の使い道が塾なのか、習い事なのかの違いだと考えています。

もちろん、塾にも習い事にも通わせられないというご家庭もあると思いますが、マジョリティーで見ると、圧倒的な差は親の情報力と判断力です」

例えば、プログラミング教育については「小学校では1人1台支給できないのでプログラミングにパソコンは使いません。この教育の根底にあるのはプログラミング的なロジカルシンキングを導入しましょうということ。しかし、なぜか『プログラミング=コードを書く』という発想になり、焦った親が習い事に通わせる、そうした考えは違います」と指摘した。

子どものために…と親が先駆けて習い事をさせて身に付けさせたいという気持ちも理解できる。しかし、だからこそ、本当に子どものためになるのかということをしっかりと考える的確な判断や子どもの教育に関わる情報は常にキャッチして、深く理解することが重要になってくる。

「『ウチの子はプログラミング、英語の習い事は必要ではない』といった、親の的確な判断がお子さんにすごく影響します。その判断を正しく持っている親とそうでない親の行き着く先が変わってくると思います。自分の子どもに何を、どうさせていきたいか考えることが重要。昔と比べて選択肢が増え、中学受験も一部だったのが今では普通のことです。いつ、どんな塾に入れて、どんな習い事をして、といった学校とは別の教育の道筋を親はプログラムしていかなければならないのです」

『それは子どもの学力が伸びるサイン! 』(廣済堂出版)

富永雄輔
進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。現在、吉祥寺・四谷・浜田山校の3校を開校。著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン! 』(廣済堂出版)がある。

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