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「結婚、それは苦難です(笑)」 世界中の人々を魅了するローマ教皇のユーモア

~ローマ教皇フランシスコ訪日同行取材記~

カテゴリ:ワールド

  • 貧しい人に寄り添い、気さくでユーモアがある人柄 
  • 長崎爆心地公園で見た核兵器廃絶へ向けた教皇の強い思い
  • 仏教徒など他宗教関係者を「平和のための集い」に招いた広島訪問の意義

11月23日から4日間、キリスト教カトリック教会トップのローマ教皇フランシスコはローマ教皇として38年ぶりに日本を訪問した。日本に先立ちタイを訪問した教皇のアジア歴訪に今回フジテレビの同行も許可された。取材からは見えたのは気さくでユーモアがある教皇の意外な一面だった。

同行取材から見えてきた、教皇フランシスコのお人柄

教皇は貧しい人に積極的に寄り添う、暖かい人柄でカトリック教会の信者から絶大な人気を集めている。その人柄を今回の同行取材で垣間見ることができた。

同行記者団はローマから訪問先まで教皇と同じ特別機で移動する。タイに向かう特別機の中で、恒例の教皇によるあいさつが行われた。教皇は記者の席をまわって、一人一人に挨拶をし、握手を交わした。記者の中にはサインを求める人もいて、教皇はそれに快く応じていた。

中でも印象的だったのは結婚を報告したフランスの男性記者とのやり取り。
教皇は男性記者の報告に対して、「それは苦難のためです」と冗談を言い、笑顔で男性記者にロザリオをプレゼントした。
13億人のカトリック信者のトップでありながらこういった気さくでユーモアのある一面に信者は惹きつけられているのだと感じた。

さらに、特別機に搭乗する前、「機内でのあいさつは教皇による記者への配慮なので、インタビューをしてはならない」と記者団はバチカンに厳しく注意されていた。しかし、今回は38年ぶりの日本訪問。外国メディアの記者が訪問への思いをどうしても聞いてみたいとマイクを向けると、嫌な顔を見せるどころか、マイクを自ら手に取り、カメラに向かって日本訪問への意気込みを語った。

同行取材を通じて感じたのは、教皇のメッセージの発信力だ。カトリック教会のトップである教皇の発言一つ一つには当然重みがある。その影響力を生かして、教皇は機会があるごとにメッセージを発信している。さらに、長崎・広島を訪問した日、「原子力の戦争目的の使用、核兵器の所有は倫理に反する」とツイートするなどSNSでの発信も欠かさない。

念願の長崎で語った核兵器廃絶への思い

長崎と広島を訪れ平和へのメッセージを発信したローマ教皇フランシスコ

教皇は以前から日本への訪問に強い関心を示していた。

原爆投下後の長崎で撮影された「焼き場に立つ少年」と呼ばれる写真に強い想いを抱き、教皇はこの写真に「戦争がもたらすもの」と言葉を添えたカードを印刷し、拡散を呼び掛けていたのだ。念願が叶った長崎訪問で教皇はまず爆心地公園を訪れたが、花を手向ける際、教皇の表情が一変したのに気付いた。

今までの穏やかな表情から、犠牲者を思い浮かべるように悲愴な面持ちへと変わり、教皇は慰霊碑の前でゆっくりと静かに祈りをささげた。そして教皇は、長崎で核兵器なき世界の実現に向けて協力を呼び掛けた。

静かに祈りをささげるローマ教皇フランシスコ

「核兵器から解放された平和な世界。 それは、あらゆる場所で数え切れないほどの人が熱望していることです。 この理想を実現するには、すべての人の参加が必要です」

さらに、教皇は国際的な相互不信が平和と安定を妨げていると指摘し、各国の指導者に次のように訴えかけた。

「核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信をもって、政治をつかさどる指導者の皆さんにお願いします。核兵器は、今日の国際的また国家の、安全保障への脅威からわたしたちを守ってくれるものではない、そう心に刻んでください。人道的および環境の観点から、核兵器の使用がもたらす壊滅的な破壊を考えなくてはなりません」

核兵器「所有」を非難した広島訪問

もう一つの被爆地、広島では核兵器の使用に加え所有することを強く非難した。
「原子力の戦争目的の所有と使用は、倫理に反します」

当初用意されていた原稿には、この一節に『所有』の記載はなかった。教皇は『所有』を付け加え、より踏み込んだ見解を示し、核兵器を所有すること自体を強く非難することで、各国に行動を促す狙いがあったとみられる。

「(歴史を)思い出し、ともに歩み、守ること。この3つは、倫理的命令です。これらは、まさにここ広島においてよりいっそう強く、より普遍的な意味をもちます。この3つには平和となる真の道を切り開く力があります」

核兵器「所有」を強く非難した広島訪問

教皇は、広島訪問の意義についてキリスト教との関係が深い長崎を訪問するのは当たり前であるがキリスト教とのゆかりのない広島を訪問することこそが重要であると語っている。

広島で行われた「平和のための集い」では、仏教徒や神道など他宗教の関係者も招待し、宗教の枠を超え平和へ取り組む姿勢をアピールした。教皇は、広島から平和を考えることが「真の道を切り開く力」と話し、日本訪問を終えた後「広島訪問のほうがより感動的であった」とまで語っている。

伝統的なカトリック教会トップの教皇が他宗教を巻き込んで核兵器廃絶に取り組む姿からは、平和の実現に対する教皇の強い思いを感じた同行取材であった

5万人が集結した東京ドームでのミサ

【執筆:フジテレビ 報道センター 佐藤メリサ】