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自民・岸田氏が経済政策提言で強気発言も 政調会長3期目で「こだわりのカラー」は浸透した?

カテゴリ:国内

  • 経済対策「財源の制約で機を逸するな」岸田氏の強気発言
  • 「5G」「ICT」ちりばめ、東京五輪後を意識
  • 政調会長3期目…ポスト安倍へ「岸田カラー」の浸透度は

“未来への投資”に言い訳無用!自民・岸田氏の経済対策方針

自民党・正副会長部会長会議(党本部・11月26日)

11月26日、自民党の岸田政調会長は、「新たな経済対策に向けて」と題した経済対策の方向性をとりまとめた文書を西村経済再生相に手渡した。それは、今後政府が、今年度の補正予算案や来年度予算案を決定していく中で、自民党として政府と共有したい方向性であり、次の3点に集約される。

1)災害対応・国土強靭化の推進、併せて地球温暖化対策への対応
2)日米TAG協定対応、外的経済リスクへの備え
3)東京オリパラ後の将来への経済活力の維持・向上

五輪カラーにライトアップされた東京スカイツリー

そして岸田氏は、この3つの方向性を踏まえた経済対策を“未来への投資”だとし「財源の制約によって機を逸することは望ましくない」と述べ、税収の下振れが指摘される中でも、必ず予算をつけるべきだと強く釘を刺してみせた。

その上で、政府に対して「政策実現のために柔軟かつ多様な工夫をぜひしっかりとしていただきたい」と念を押した。岸田氏としては、自らが中心となり形にしたこの経済対策の方向性が、令和時代の経済成長には必要な戦略であると政府に対して強調した形だ。

これに対して西村経済再生相も、安倍首相から「経済運営に万全を期せ」との指示を受けているとした上で、「政府与党一体となって、与党のこのお考え、自民党のお考えも踏まえながら、力強い対策をまとめていきたい」と、岸田氏の要望を政府としても十分に考慮する姿勢を示した。

今年9月に行われた党役員人事を経て政調会長3期目となった岸田氏が、ポスト安倍もにらんで強い姿勢を示し、政府側もそれを尊重した形だと言えそうだ。

次世代成長戦略のキーワードは「5G」などの情報通信技術

5Gイメージ

これに加えて自民党は、岸田氏が示したこの3つの方針に対応する形で、財務金融、経済産業、厚生労働など16の専門分野から集められた160以上の重点事項を取りまとめた。それぞれの分野ごとに内容が多岐に渡る中、先述の方向性(3)で示された東京オリパラ後の将来への経済活力の維持・向上に関しては、「5G」や「ICT」といったキーワードがちりばめられ、最先端技術の研究開発と普及が重要であると言及した項目が目立った。

5Gの一層の普及・展開に向けた研究開発に取り組み、その社会実装を加速する」(総務部会)
「令和時代にふさわしい学校ICT環境の実現を図ること」(文部科学部会)
「介護・障害福祉・保育分野のICT導入を支援する」(厚生労働部会)
「ポスト5Gの半導体・情報通信システムについて、我が国の技術力を結集した国家プロジェクトとして開発を進めること」(経済産業部会)

5Gとは第5世代移動通信システムと呼ばれ、現在利用されている4G(=第4世代移動通信システム)の次に位置づけされる技術のことだ。この5Gに期待されることは、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3点とされる。現在よりもさらに速い通信速度で、ほぼタイムラグ無く遠隔地と繋がり、さらにその繋がりも複数同時に行えるというものだ。

ちなみにDVD1枚分のデータをダウンロードするのに、1G世代なら40数日かかっていたものが、4Gでは40秒程度で、そして5Gでは数秒で行えるとされる。(総務省5G関連各種資料より)

ICTイメージ

つまり5Gという環境がもたらす未来では、複数の場所でほぼ同時にものごとを把握したり、理解したり、制御したりすることが可能となる。例えばそれは、医療・救急分野における遠隔処置だったり、農業・工業分野における機械の自動制御による完全無人化だったり、自動車の自動運転などの技術にも関わってくる。

これまでは、携帯電話やスマートフォンといった通信サービスの領域で行われてきた産業が、一気に多種多様な領域で産業化されるのだ。そのため、5Gを道具の1つとして展開されるICT(=情報通信技術)は、国内最大の産業分野と位置付けられており、少子高齢化から防災といった社会的課題、新産業や新サービスの創出など、日本の成長戦略の重要な要素とされている。

岸田カラー発揮も、評価はこれからとの指摘

こうしたテーマもついても岸田氏は、「スピード感、そして国際競争力という意味でまさに危機感を持って取り組んでいかなければならない」と述べ、“喫緊の課題”だとした。自民党の各政策分野にも岸田カラーが浸透した、あるいは浸透させようとしていることを強調した一幕だ。

こうした岸田カラーの打ち出しについて党内では、「3年目になってようやく撒いた種が実り始めた」(党中堅)と評価する声が挙がる一方で、「(この取りまとめが)どう補正予算に表れるかだ」(党政調幹部)など、結果が伴わなければ岸田氏の勇み足で終わる可能性を指摘する声も聞かれた。

「来年の秋まで政調会長を続けると、政調会長としての在職日数が結党以来最長になるらしい」と3年目の手ごたえと共に周囲に語る岸田氏にとって、その手腕が真に評価されるのは、まさにこれからと言えそうだ。

(フジテレビ政治部 自民党担当 福井慶仁)