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孤独…だけではない! 離別・死別を経験したシニアがパートナーを求めるワケ

カテゴリ:暮らし

  • 新たなパートナーを得られた喜びが生活を充実させる
  • 法律婚、事実婚…抱えるしがらみによって選択はさまざま
  • パートナーの存在は「家族であり、夫婦であり、同志」

65歳以上の単身世帯(独居人口) が620万人を超えている今 、自身の老後や最期を改めて考えたシニアたちが、パートナーを求めて“婚活”という行動を起こしている。

『ルポ シニア婚活』(幻冬舎新書)の著者である篠藤ゆりさんは、約1年掛けてさまざまなシニアカップルを取材し、その実態と成婚の道筋について一冊の本にまとめた。著書では、60歳以上の婚活を「シニア婚活」としている。人生の酸いも甘いも経験したシニアたちは、結婚や夫婦というものをどのように捉えているのだろうか。

シニアが婚活を考えるきっかけは2つ

まず、シニアたちが婚活を考えるきっかけは2つあると篠藤さんは言う。「長生きするようになったことと、離婚が増えたことです。パートナーとの離別や死別を経験し、そして、年齢を重ねれば重ねるほど『この先ずっと一人か?』といった不安や孤独に対する恐れが出てくるのだと思います。その時に、パートナーがいれば…と思い、婚活したいという気持ちになるようです。」

しかし、シニアになると異性と出会って結婚、というのはなかなか難しいのが現実だ。もし、出会いを探すのであれば、シニア向けの結婚相談所に入会することが一般的な婚活方法。料金設定やシステムは相談所によって異なり、サービス内容も違う。

例えば中高年専門の結婚相談所「茜会」の創業は1960年。戦後15年が経ち、「中高年化している戦争で夫を亡くした女性に救いの手を」という思いから創業者が活動を始めた。他にも「太陽の会」や「楽天オーネット スーペリア」など、ネットで調べてみるとさまざまな婚活情報サービスが出てくる。

篠藤さん自身も「シニアに特化した婚活情報サービスが賑わっているのは正直、取材して驚きました。会員の数も多いですし、参加するみなさんも積極的。実際にある婚活パーティーを取材したとき、とても明るい雰囲気でした。緊張して固い人が多いと思っていたのですが、積極的に会話もしていて、とてもポジティブだなと感じました」と話す。

シニア婚活のメリット・デメリット

寿命が延び、この先の孤独や不安がきっかけとなり、パートナーを求めるようになる。このシニア婚活の実態を取材してきた篠藤さんは「新たなパートナーを得た方は若々しい」と明かし、それがメリットでもあるとする。

「パートナーがいることの満足感が得られ、毎日イキイキしている。婚活はお見合いみたいなものですが、そこから恋愛になるんです。年齢に関係なく。新たなパートナーを得られたことの喜びで生活が充実するようです」

そう感じたのは神奈川県の湘南エリアに暮らす70代の夫婦を取材した時のことだという。「女性は夫のDVが原因で3人の子どもが独立した後に離婚し、シングルを謳歌していましたが、少し寂しくなったことで婚活を始めたようです。出掛けて家に帰ると家が真っ暗でご飯を食べるのも寂しいって。そして、今は結婚した相手と一緒に食事をするのが楽しくってしょうがないと。70歳になってもそう思えるんです」。

一方でデメリットは、「後妻業」などといったトラブルもあるが、一番のハードルは子どもの反対。「賛成が得られないことが多いです。結婚をして3割はうまくいかないというデータもあり、それは子どもや互いの家族との関係が原因。結婚する場合は、互いの家族に理解してもらうことが大事。特に男性は自身の子どもに内緒で婚活をする人が多く、結婚したいと思ったときに結論だけ言うんです。それがきっかけで関係が崩れる。そこをどううまく乗り越えていくかが、シニア婚活のポイント」と話し、結婚する場合は家族としっかりと話し合うことが大切だと訴えた。

納得した婚姻関係を結ぶシニアたち

篠藤さんは著書の中でも、実際に自分の親が結婚した子どもを取材している。そこでは、親の結婚を歓迎する子どももいれば、頭では分かっているけれど気持ちが追いつかないという声があった。特に死別した場合は「お母さんが住んでいた家に他の女の人が入るのはいやだ」という、どうにもできない感情的なものもあったという。

こうした取材を通して「親と子どもは年齢も立場も違う。自分が親の年齢になれば分かると言われても、なかなか理解できない部分もあると思います。ただ、一つ言えることは将来的なことも含めて、相続や財産をきちんと親と話しておくことが重要です。親が再婚する場合はそこがネックになります。揉めないために事実婚を選ぶカップルもいました」と振り返る。

今のシニア層は結婚と言えば、法律婚を選ぶ人が多いと思うだろう。篠藤さんも「結婚相談所などで婚活をする場合は、法律婚を目指していると思っていましたが、必ずしもそうではないと感じました。シニアになると、いろいろなしがらみがあります。事実婚を選ぶ人もいて、お互いに納得した婚姻関係を結んでいるようです」と話す。

シニアの場合、特に女性は経済的な不安などで法律婚を望んでいるかと思うが、事実婚を選ぶということもあるようだ。理由は、女性自身も不動産を持っていて、それを実子に相続させたいと考えている場合や、夫と死別した女性は遺族年金をもらっているケースが多く、再婚して法律婚を選ぶと遺族年金が入らなくなることもあるからだという。

パートナー探しは年齢に関係ない!

では、パートナーを求めているシニアたちは、どのような夫婦像を描いているのだろうか。

主に男性は食事を作ってほしいなど、現実的な部分があるというが、残りの人生をどう充実させ、人生を楽しく過ごしていけるか、と考えている人も多くいるという。

「前出の湘南に暮らす夫婦は、1日1日がすごく大事だと言っていました。この年になると、いつ何があるか分からないから、毎日を丁寧に暮らしたいと。とても仲睦まじく、70代で知り合っても何十年も一緒にいるかのような雰囲気を感じました。他のケースでは女性の過去の辛い結婚生活から『このまま人生が終わっていいのか』『結婚はあんなものだと思ったまま死ぬのか』という思いから婚活をはじめ、幸せを手に入れているので、今は幸せですと話していました」

一方で婚活をする女性の多くに共通しているのが「『家事をやってほしい』という人と結婚するのはいやだ」ということ。しかし、これまで散々家事を行い、「家政婦になりたいわけじゃない」という強い思いを持って婚活をスタートするが、パートナーを見つけ、幸せな時間を過ごしていくと「この人のために食事を作るのはいやじゃない」と気持ちに変化が訪れるそうだ。篠藤さんは「そこが、本当に面白いところ」だとも明かした。

そうして、シニアたちにとってのパートナーの存在について篠藤さんは「家族であり、夫婦であり、同志。これから老いがあり、大変なことも増えていきます。若いときのように自由に動けなくなる。それを共に支える同志だと感じました。そして、パートナーを見つけることに年齢は関係ないと思いました。

この本を書くきっかけも私の親しい人のお母様が80歳で結婚をしたこと。しかも、婚活ではなく自然な出会いで。最初は信じられなかったのですが、そのお母様の話を聞いていると本当に幸せそう。その年齢にはその年齢なりの人生の考え方があり、人生の可能性があるのだと感じました」と話す。

もし今、この先を共に生きるパートナーを探したい人と思っていたら、まずは結婚相談所などの体験をしてみるのが良いという。「結婚相談所などに入会したら結婚を意識しなければいけない」と考えてしまいそうだが「取材をしていると、話し相手を見つけようかな、という人もいました。家にこもるより、異性と出会ってオシャレして出掛けたいと。気分転換にもなり、生活にメリハリも出て、そして運良く出会えればいい」と考えている人もいるといい、前向きに考えてみてはどうかとアドバイスをしてくれた。

一人で年齢を重ねれば重ねるほど、毎日、生きることに精一杯になりがちだが、篠藤さんは「一人で精一杯だからこそ、二人なのかもしれないです。足りないモノを補い、支え合うことが大事なのかもしれない。年を取ってからの結婚は人間対人間。ときめきもあると思いますが、もう少し深いモノがあると思いました」。

著書の中に「人はいくつになっても“ときめき”を求めている」という一文がある。篠藤さんの話を聞いていると、年齢に関係なく人は“ときめき”を求め、刺激となり、それが一番の長生きの秘訣でもあるのかもしれないと感じた。

『ルポ シニア婚活』(幻冬舎新書)篠藤ゆり

篠藤ゆり
ライター。大学卒業後、コピーライターとして広告代理店に勤務。退社後、世界各国を旅する生活を経て、1991年に『ガンジーの空』で海燕新人文学賞受賞。『婦人公論』のグラビアなど女性誌を中心にインタビューを手掛ける。著書に最新刊『ルポ シニア婚活』(幻冬舎新書)のほか、『旅する胃袋』(幻冬舎文庫)、『食卓の迷宮』『音よ、自由の使者よ。―イムジン河への前奏曲』、聞き手として携わった『岡本太郎 岡本敏子が語るはじめての太郎伝記』(いずれもアートン新社)がある。

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