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「冷蔵庫に貼っている夫婦も」日本での“婚前契約”がじわじわ増加中…その実情を聞いた

カテゴリ:国内

  • 財産や育児などについて結婚前に結ぶ「婚前契約」
  • 専門家「メリットは深い話をすることで相手の本質が見える」
  • 資産がある人や離婚経験者が婚前契約をする傾向

10年以上同棲をしているのに結婚しないカップルや、法律婚という形を取らずに事実婚を選択…。

男女ともに生涯未婚率の上昇が続き、“結婚”に対する価値観が多様化している現代。かつてはネガティブに捉えられていた離婚に対する世間の印象も変わってきている。

そのような中で今、婚前契約(プリナップ)が少しずつ注目を集めている。

婚前契約とは、幸せな夫婦生活を送ることを目的に、結婚前にふたりが財産や育児などについて取り決めをすること。この内容を婚前契約書という形にまとめ、公正役場で公正証書として作成することもできる。

しかし、婚前契約を結ぶに当たって何が重要なのか? 具体的な手続きは? など、まだまだ詳しいことは分からないことが多いのではないだろうか。

一般社団法人プリナップ協会代表で、行政書士である多田ゆり子さんに話を聞いた。

ふたりが価値観をさらけ出し、受け入れる決意の証が婚前契約

――そもそも婚前契約ってなに?

その名の通り、結婚前に結ぶ契約のことでその考え方はいろいろあると思います。プリナップ協会では、結婚前にふたりが価値観をさらけ出し、これを受け入れるという決意をして結婚に臨む…その覚悟の証だと思っています。

――婚前契約って一度交わしたら変更はできないの?

基本的には、変更せずに持ち続けるというのが本来のあるべき姿ですが、内容によっては十年、何十年と経つと、契約内容に無理が出てくるということもあると思います。そのような時には内容にもよるのですが、変更することも可能ではあります。

――婚前契約のメリットとデメリットは?

メリットは、結婚前にいろいろな深い話をすることで、それまで分からなかった相手の本質が見えることだと考えます。このような点から、結婚した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することが防げると思います。

加えて、結婚後に婚前契約書の見直しをするということもできるので、夫婦生活の中でも改めて深いコミュニケーションをとる機会ができます。夫婦の会話はもちろん日常的にあると思いますが、改まって夫婦生活などについて考える機会は結婚してからはなかなかないのではないでしょうか?

デメリットは、強いてあげるとするならば、先ほど挙げたような相手の本質が結婚前に見えてしまうことでショックを受けてしまう可能性があります。もちろん結婚後に分かるよりは結婚前の方がいいと思うのですが、過去には相手の意外な部分が見えてショックを受けてしまわれた方がいらっしゃいました。


――契約書内容を履行しなかった際の罰って定めたりするの?

内容の程度にもよるのですが、明らかな不貞行為があった場合に罰則として慰謝料を設定するということはよくあります。
しかし、例えば、「誕生日や結婚記念日にはプレゼントを贈る」などという二人の独自ルールを細く決める方もいらっしゃいます。ここにまで罰を設けるのは法的にもみても少しいき過ぎている部分があると考えます。このような項目の不履行において、罰則を決めるということはないですね。

資産がある人や離婚経験者が婚前契約をする傾向

――婚前契約の認知度が上がっている理由はどう考える?

昔に比べ、勢いで結婚するのではなく、一度冷静に立ち止まって、きちんと相手を向き合ってから結婚したいと考える人が増えているのではないでしょうか?


――婚前契約をする人の傾向は?

職業で言うと、お医者さんや経営者の方など資産をお持ちの方からご依頼をいただくことが多いです。また、以前は女性からが多かったのですが、最近は男性からの問い合わせも増えてきて、現在は半々くらいの割合でご依頼をいただいています。

その他では、立場の弱い女性、一定の収入がある女性、男性では資産を持っている方が多いかもしれません。加えて、離婚を経験されている方からの依頼は多いですね。前回の結婚生活においての失敗を生かすためだと思われます。

――具体的な手続きはどのような流れになる?

最初はおふたりでしっかりと話し合っていただき、続いてカウンセリングという形で私達がお話を伺い、その後はメールや電話で内容を詰めていきます。なお当協会では、婚前契約書を公正証書として作成しているので、最終的には公証役場での手続きをいたします。

――決める項目はどれくらい?

シンプルに財産についてだけの方もいらっしゃいますし、細かく決める方もいらっしゃいます。しかし、あまり細かいと円滑な夫婦生活の妨げになる場合もありますので、“本当に必要”な項目だけに絞っています。多くても20項目はいかないくらいですね。

――内容ってどんなもの? なにを重点を置いている?

項目の範囲は、おふたりが何を重要視しているのかによりますが、「夫婦生活」「仕事」「育児」「住環境」「財産」など多岐に渡ります。ただ、多くの方が決めていらっしゃるのは財産と離婚後の子どもの取り決め(養育費など)です。

ふたりの絆の“拠り所”に…冷蔵庫に貼っている夫婦も

――実際に婚前契約をした人の感想は?

実際には婚前契約書を作成しても、あまり家庭内では読み返していない方が多いです。ただ、リビングに契約書を飾っているという方もいれば、冷蔵庫に貼っているという方もおり、契約書の存在を常に感じるようにしているようです。

ふたりの絆の拠り所として契約書を持つことで、夫婦生活が円満に保たれているようです。実際にケンカになりそうな時でも「婚前契約書で約束したよね?」と言うことで、相手は納得されるのではないでしょうか。


明るい未来を想像するはずの時期に、もしもの場合を考えることに抵抗がある人もいるだろうが、婚前契約書が“お守り”代わりというのはたしかに分かる。ケンカで感情的になった際にも、婚前契約書を読み返すことで冷静になることもあるだろう。今、結婚を考えているカップルは、この婚前契約を一度検討してみるのもいいかもしれない。

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