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消費税増税から1か月・・・与党は“混乱なし”と安堵と自画自賛 世論は・・・

カテゴリ:国内

  • 消費税増税から1か月 与党には“混乱なし”の安堵感と自画自賛の声
  • 世論調査では、“駈けこみ購入”“増税後の反動減”は少数派
  • “増税を評価しない”“景気悪化が心配”半数超・・・与党はどう答える?

与党に“混乱なし”の安堵感と自画自賛の声

10月31日、公明党は、消費税率10%への引き上げから明日で1ヶ月というタイミングに合わせて、消費税率引き上げにより懸念される様々な影響を検証する対策本部を開催した。

会合では、酒類や外食を除く飲食料品などの消費税率を8%のままに据え置く軽減税率制度や、住民税非課税の人と0歳から3歳までの子どものいる子育て世帯を対象としたプレミアム付き商品券、キャッシュレス決済によるポイント還元制度など、増税に伴って導入された様々な制度について政府側から意見聴取を行った。
政府側は、軽減税率制度導入時の混乱などに備えて設置されたコールセンターの電話相談件数が、10月に入ってから大幅に減少したと説明し、「混乱は落ち着き始めている」との認識を示した。

公明党本部

軽減税率は、公明党が主張し、自民党内の慎重論を押し切る形で導入された経緯がある。
公明党の西田参院会長は会合後、「事業者の方にも相当な努力をしてもらっている。そのおかげで軽減税率制度は大きなトラブルにはなっていない。」と語った。
また、西田氏は「様々な課題もある」として、軽減税率に対応するレジについて申請ができていない人数の把握と必要な支援策など、政府の今後の対応を注視する考えを示した。

公明党の山口代表も、「当初心配されていたようなことが、政府の様々な総合的な政策によってそれぞれ効果を上げつつある」とした上で、「高齢者の方々などは、むしろポイント(還元)よりも軽減税率の役割を実感されている」と軽減税率の効果を強調した。

公明党中央幹事会で挨拶する山口代表 (10月31日)

これに先立ち、自民党も10月17日に経済成長戦略本部を開催し、「軽減税率の実施状況」や「消費税率引き上げに伴う経済対策の進捗状況」について、関係省庁からのヒアリングを行った。

自民党・経済成長戦略本部(10月17日)

ここでも、各省庁からの報告は「概ね問題ない」といった内容で、会合に出席した国会議員からも積極的な問題提起はあまり見られなかった。
本部長を務める岸田文雄政調会長も、「(消費税引き上げ後)何か考えることがあるかどうか、あるのならば追加でフォローしていかなければならない」と述べるにとどめた。

この日の会合に出席した国会議員の数は10人程度。9月下旬の会合では、会場から人が溢れんばかりの状態の中、増税に際しての様々な懸念が出席議員から飛び交ったが、その時と比較すると5分の1以下の出席人数だ。
出席した議員からは「(国会議員の参加が少ないのは)問題がないという証拠でしょ。今回は引き上げ前にだいぶ念入りにやったからね」と、消費税率引き上げ対策の内容や事前広報の徹底を自画自賛する声も聞かれた。

野党は「経済に致命的な影響」と厳しく批判

こうした与党の安堵感と対照的に、野党からは、強い懸念と厳しい批判が出ている。

立憲民主党の枝野代表は、消費税率が引き上げられた10月1日の党の会合で、「今の日本の消費不況の状況の中で、この暴挙は大変、日本経済全体に深刻な影響を与えるのではないかと心配をせざるを得ない」と強い口調で語った。

立憲民主党常任理事会で挨拶する枝野代表(10月1日)

国民民主党の玉木代表は「景気経済に致命的な悪影響を与える可能性がある」と強調する。
共産党の志位委員長も「国民の暮らしを破壊し、景気と経済を破壊する増税に強く抗議したい」として、消費税の減税や廃止に向けた活動を続けている。

増税後、商品によって消費税率が変わることで店頭の会計作業が煩雑になったといった不満の声が上がっているのは事実だ。
また、軽減税率を導入したがために約6000億円分の税収が減っており、その穴埋めをどうするのかといった課題は残されたままにもなっている。
さらに、台風や大雨により各地に大きな爪痕がいまもなお色濃く残る中、消費税率引き上げ対策として今年度の予算に盛り込んだ総額6兆6000億円余りの対策費が、今後、消費税率引き上げによる消費の冷え込みを防ぎ、税収の上向きに繋がるのかは現時点ではまだ不透明だ。

世論調査で見る “駈けこみ購入”“増税後の反動減”は?

消費税率引き上げ後、世の中はムーズに滑り出したのか。FNNは、10月19日・20日に行った世論調査で、有権者の声を聞いた。まず見ていただきたいのが、次の2つの質問だ。

FNN世論調査(10月19日・20日実施)

▲消費税率引き上げ前の駆け込みで買い物をしましたか、しませんでしたか?
した(21.4%) しなかった(78.4%)

▲消費税率引き上げ後、買い物を控えているか、控えていないか?
控えている(17.9%) 控えていない(80.0%)

この数字を見る限り、消費税率引き上げ前に懸念された駆け込み購入や、引き上げ後の買い控えによる消費の反動減は、それほど起きなかったように思える。

また、消費税率引き上げ対策として行われたキャッシュレス決済によるポイント還元制度や、軽減税率制度についても聞いた。

▲買い物する際にキャッシュレスによるポイント還元をどの程度意識しているか?
かなり意識している(12.0%) まあ意識している(30.4%)
あまり意識していない(32.0%) まったく意識していない(24.3%)

▲軽減税率の制度について、困惑や混乱を経験しましたか?
経験した(13.2%) 経験していない(85.7%)

キャッシュレス決済については、「意識していない」人が「意識している」人を上回った。
ただ、軽減税率については、消費者レベルの混乱は、それほどなかったようだ。

そして、世論調査では、今回の消費税増税に否定的な意見や、景気悪化を懸念する意見が半数を超えた。

▲今回の消費税引き上げを評価しますか、評価しませんか?
評価する(39.9%) 評価しない(52.8%)

▲消費税引き上げ後の景気の悪化を心配していますか、心配していませんか?
心配している(52.2%) 心配していない(43.0%)

この世論調査の結果に対し、岸田氏は10月21日の記者会見で、こう語った。
「(消費税引き上げの)理由について、まだ十分納得がいかないという声があるとしたら、引き続き政府としても与党としても、しっかり説明責任を果たしていかなければいけないのではないか」

自民党・岸田政調会長の会見(10月21日)

そして、岸田氏は、消費税率引き上げを財源として全世代型社会保障制度を進めていくことが「いかに大事であるのか」、国民に理解してもらう努力が大切だと強調した。

政府与党は、今後も消費税率引き上げが日本経済全体に深刻な影響を与えるのではないかという点については、定期的に調査するとしている。
増税直後の景気の落ち込みが少なかったとしても、ポイント還元は来年6月までで、その後を心配する声もある。
今後も丁寧な説明を続けて、消費税増税の国民の不安や懸念に応える姿勢がなければ、新たな政治不信につながりかねない。

フジテレビ 報道局政治部 自民党担当 福井慶仁空閑悠