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手応えあり!「シェアリングエコノミー」の新たな活用法に政府も「驚いた」

カテゴリ:国内

  • ネットを使ったマッチング「シェアリングエコノミー」が急成長
  • 政府がロゴマークを「シェアエコ」で募集してみたら・・・
  • 「シェアエコ」の活用は、今後どこまで広がるのか?

このところ耳にすることが多くなってきた「シェアリングエコノミー」という言葉。「シェアエコ」と略され、個人等のスキルや資産などを、インターネットを介して他の個人等に提供することを指す。ネットで民泊を仲介する「Airbnb(エアービーアンドビー)」や、配車サービスの「Uber(ウーバー)」などがその好例とされる。
民間で活発化するこの「シェアエコ」を、霞が関でも導入しようという動きが加速している。

(シェアリングエコノミーのイメージ図:内閣官房ホームページより)

ロゴを「シェアエコ」で募集してみると・・・

10月1日、IT・科学技術等の政策を担当する竹本大臣が、内閣府が創設を進める「ムーンショット型研究開発制度」のロゴマークを公募すると発表した。

竹本IT相の記者会見(10月1日)

「ムーンショット」については後述するが、今回の公募の方法は、これまでの一般的な官庁の公募とはひと味違う、「シェアエコ」を利用したものだった。
具体的には、ホームページや掲示板で一方的に募集するのではなく、仕事を依頼したい企業と仕事を受けたい個人をオンライン上でマッチングするウェブサービス「ランサーズ」を活用するというのだ。

(「ランサーズ」における当該ロゴデザイン募集のページ 10月1日閲覧)

このサービスには、ロゴデザインなどのスキルを持った個人等が専業や副業などの形で登録しており、今回の募集に興味を持った人が、自らのアイデアを提案し、選定を受けて報酬を受け取る形だ。

提案の期間は10月21日まで。報酬は「シェアエコで募集する場合の相場」(内閣府担当者)である54,000円だ。
ロゴマーク募集が開始されると、わずか3時間で5件以上の提案が集まり、応募のペースは速かった。内閣府の担当者も「こんなに早く多くの提案が集まるとは想定しておらず、良い意味で驚いている」と語る。

「ムーンショット」は「シェアエコ」と“ベストマッチ”⁉

そもそも今回、ロゴマークを募集する「ムーンショット型研究開発」とは、実現すれば社会を変革させるような「従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発」を指す。まさに「シェアエコ」と相性が良いように思える。

ちなみに「ムーンショット」という名称は、「月に向けたロケットの打ち上げ」から来ており、アポロ計画のような「破壊的イノベーションの創出」を目指している。
素案では「サイボーグ技術を2050年までに確立させること」「人口冬眠技術を2050年までに確立させること」などが例示され、年末をめどに実際の研究プロジェクトの公募が始まる見通しだ。

ロゴマークを「シェアエコ」で募集する狙いは?

「ムーンショット型研究開発制度」のロゴマークを「シェアエコ」で募集する狙いは、大きく2つある。

第一に、幅広い層を巻き込んでデザインの募集を行うためだ。一般的な募集案件のような役所のホームページや掲示板では、気づいてくれる人が少なく、その政策に興味や関心のある人にしか届かない。多様な人材が登録する「シェアエコ」を活用することで、優秀なスキルを持った人に広く呼び掛けたり、政策をPRしたりすることを狙っているのだ。
竹本大臣も「広い視野でアイデア募集をするという意味で、シェアリングエコノミーを使うというのは一つの新しい試みで面白い」と強調している。

第二に、「シェアエコ」を活用して募集することが、新しいアイデアを取り入れようとする「ムーンショット型研究開発」の精神にかなうからだ。「最先端の研究開発」を目指すプロジェクトだけに、“今風”の「シェアエコ」を活用しようとしたのだろう。
なお、今回の募集は、コスト削減を狙って「シェアエコ」を活用するわけではないとしているが、担当者によると、結果的に従来型の公募よりも費用節約効果があるという。

「シェアエコ」の活用は広がるか

「シェアエコ」の市場規模は、様々なサービスが登場する中で、約5000億円(2018年:内閣府調べ)にまで広がっている。「シェアエコ」は、ともすればベンチャー企業などがそれぞれ独自に取り組んでいる事業と受け取られるかもしれないが、政府においても、内閣官房が旗振り役となって、日本の成長戦略の一環として推進している“政策”でもある。

政府における「シェアエコ」の活用は、珍しいが、今回が初めてではない。
過去のケースとしては、内閣官房IT総合戦略室が「シェアエコ」推進のロゴマークを募集し、一般の方からの応募の総数176点の中から選定した例がある(2017年3月に公開)。
当時の担当者は、「『シェアエコ』を活用することで、通常の公募よりも多くの人に呼び掛けられた」と振り返る。
このロゴマークをめぐっては総数176点の応募が集まり、また最終的に選ばれたデザインはフランス在住の日本人によるものであったことから、「シェアエコ」ならではのリーチの広さが伺える。加えて、費用についても、一般的に広告代理店等にロゴマークを発注するより安く済んだという。

一方で、応募されたデザインについて、「似たものが商標登録されていないか確認する手間がかった」と担当者がデメリットを明かした。代理店に発注する場合は、通常その作業も含まれているという。ただ、「結局、我々(役所)が確認すればよいだけの話」とも語っており、そこまで深刻な問題ではなさそうだ。

「シェアエコ」を担当する内閣官房シェアリングエコノミー促進室は、こうした政府における好事例を参考にしながら、「シェアエコ」の活用が各省庁に横展開されていくことに期待感を示している。

(「シェアリングエコノミー推進ロゴマーク」)

今回の「ムーンショット型研究開発制度のロゴデザイン募集」については、現在、多くの案が寄せられており、どの案が選定されるか楽しみだ。
また、「シェアエコ」は、幅広い層にリーチでき、透明性も担保できるなどといった特長があるため、今後どこまで活用が広がっていくのか、その可能性にも注目したい。

(10月4日閲覧)

フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇