災害時インフラ最新情報

「ギャップがありすぎてダメ」日韓の“議員対話”で見えた関係修復の難しさ

カテゴリ:ワールド

  • 自民党議員と韓国の元議員の対話セミナーでの議論内容
  • 「確認事項」で未来志向の対話の重要性訴えるも、主要論点は平行線
  • 対話チャンネルの意義の一方で懸念も…露呈した関係修復の難しさ

自民党議員団と韓国の元国会議員団が友好促進セミナー

中国での日韓外相会談を翌日に控えた8月20日、自民党の国会議員が、来日した韓国の元国会議員との合同会議を国会内で開催した。題して「日韓(韓日)両国の懸案解決と友好促進のための合同セミナー」だ。

いわゆる徴用工問題などでの韓国側の対応によって日韓関係が危機に瀕し、日本が韓国への輸出優遇措置を見直したことに韓国側も猛反発する中で、その打開策を探る機会になるかとの期待も一部にあったが、逆に関係修復の難しさが感じられる会合となった。

「日韓(韓日)両国の懸案解決と友好促進のための合同セミナー」8月20日

日本側は、日韓関係の重要性は強調しつつ元徴用工問題では抗議

セミナーの中で自民党の衛藤征士郎外交調査会長は、韓国の元国会議員らを前に講演し、「我々は先人の知恵を大事にしながら未来の日韓関係を構築する責任がある」と両国関係の重要性を指摘する一方で、次のように述べた。

韓国の元国会議員らを前に講演する自民党の衛藤征士郎外交調査会長

「日韓関係に否定的な動きが相次いでいることを誠に残念に思う。また昨年の韓国大法院判決は、先人たちの知恵の結晶たる法的関係を覆し、安定した日韓関係と国交正常化の法的基盤に大いなる疑問を投げかけてしまった」

衛藤氏はこのように徴用工問題をめぐる韓国の対応について厳しく指摘した。さらに韓国への輸出優遇措置の撤廃についても「これまでも日本側が説明しているが、今般の輸出管理措置の見直しは責任ある国際社会の一員として、安全保障の観点から、我が国国内の措置を厳格に運用するための見直しだ。これは日韓関係に影響を与えることを意図しているわけではない」と強調した。その上で、衛藤氏は、次のように両国の連携の必要性を訴えた。

「日韓両国はプロパガンダに動揺することなく毅然として連携すべき点は強固に連携し、両国で常に緊密に意思疎通を図りながら、重要な隣国としての責任を果たさないといけない」

自民党の衛藤征士郎外交調査会長

マスコミクローズ部分では激論も「ギャップがありすぎ」

この後、会合は報道陣を退出させた上で行われ、衛藤氏も指摘した元徴用工を巡る問題や韓国への輸出優遇措置の撤廃などについて、白熱した議論が交わされたという。

しかし、会の途中で席をたった出席者の一人は「ギャップがありすぎてダメだ」と話し、「韓国側はこれまでの政府の方針を説明するだけ、自分の主張を繰り返すだけだ」と、日韓双方の主張は大きく隔たったままだと指摘した。

日本側にとって最大の懸案であり韓国側から解決への何らかのアイディアが示されるのではとの期待もあった徴用工問題だったが、韓国の元議員からは踏み込んだ提案はなく、「被害者たちの同意を得られる形で解決してもらいたい」との要望があった程度にとどまったという。

徴用工問題をめぐる日本への抗議デモ(8月1日・ソウル)
ワシントンの日本大使館前での抗議活動(8月15日)

「確認事項」を発表も、肝心な部分は双方の主張の羅列に

双方は会合での確認事項として「両国の懸案が、未来志向で共存共栄の精神に基づいて解決されなければならない」との共通認識を示した上で、次の6点を発表した

1、自由・人権・民主主義・市場経済の価値を共有する隣国として、日米韓の協力をさらに強固にする必要性に共感。
2、1998年の日韓首脳による「21世紀に向けたパートナーシップ宣言」を継承・発展。
3、両国で貿易規制とも受け取られかねない措置が取られたのは、将来や次世代のことを考えたときに望ましいことではない。両国当局間での外交協議で円満解決を。
4、韓国側は、「ホワイト国」リストから韓国を除外する問題などの経済規制を、韓日両国の通商交渉を再開し懸案が妥結されるまで、規制措置履行の留保を提案。
5、日本側は、1965年の条約・協定での両国間の請求権の「完全かつ最終的な解決」を確認し、慰安婦問題についても2015年に「最終的かつ不可逆的解決」との認識を表明。
6、今後の関係が、先代が築いた協力の軌道から離脱することのないよう、再発防止に向けて努力するため、持続可能な懸案協議体を設け、定期的に対話することを提案。

協力と対話の必要性は指摘しつつ、輸出規制優遇措置の撤廃や徴用工問題などについてはそれぞれの主張を並べたもので、議論が平行線のまま終わったのが表れた形だ。徴用工問題については、韓国側から「日韓請求権協定の認識がこんなに違うのか」という発言が出たということで、日本側から見れば「国内法が国際法に優先する」という韓国の独自論理が浮き彫りになった。

議論が平行線のまま終わったのが表れた形に

会合の意義と懸念の声…露わになった関係修復の難しさ

それでも、会合終了後、衛藤氏は「政治家同士の会合でこれだけ率直な意見交換ができたのは初めてだ。お互い歯に衣着せない意見を出し合ったのはよかった」と対話の意義を強調した。双方は、セミナーの結果をまとめて、それぞれの政府に報告するという。

一方、今回の会合は韓国側が日本に働きかけて開催されたもので、自民党内にも開催自体を懸念する声があったという。関係者の一人は「こうした会合が韓国側でどう報じられるのか注意しなければならない」と、会合が韓国側に利用されることを懸念していた。

隣国として、政府が対立関係にあっても今回の議員間のような一定の対話のチャンネルを持っておくことは大事だが、具体的な解決策の提案もなく双方の隔たりが際立った今回の会合は、今の日韓関係修復の難しさを逆に物語るものとなった。そして翌日に中国で行われた日韓の外相会談も、当然のごとく平行線に終わった。

中国・北京での日韓外相会談(8月21日)

(フジテレビ政治部)