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【独自】前回地震から300年・・・南海トラフのナゾ解明に向け、8000年分の地層を採取せよ!

カテゴリ:国内

  • 6日から始まった「8000年分の地層採取プロジェクト」
  • 2012年には死者32万人と推計された南海トラフの地震予測に役立つか
  • 連動型とみられる南海トラフの間隔、規模は・・・

※冒頭のシミュレーションCG画像は内閣府提供

8000年分の地層採取プロジェクトが始動

高校のグラウンドで始動した壮大なプロジェクト(和歌山県串本町)

南海トラフ地震の津波の痕跡から多様な発生パターンの周期性を探る調査が、紀伊半島の海岸沿いで8月6日から始まっている。

和歌山県串本町の海岸から200mほどに位置する県立串本古座高校のグラウンドでは、夏休みにもかかわらず部活動で汗を流す生徒の声が響いていた。その片隅に掘削調査のための鉄パイプで組まれた櫓がそびえている。

7年ほど前にも同じ場所で地層サンプルを採取するための掘削調査を行った産業技術総合研究所の宍倉正展研究グループ長は、共同研究者の法政大学前杢英明教授とともに久しぶりの津波堆積物の調査に胸躍らせていた。

今回の調査ではこれまで掘削した深さの2倍ほどの、地下10mまで連続した地層のサンプルをくり抜くことができる機材を持ち込んでいる。
過去の経験から地下10mまで掘削すれば、約8000年前までさかのぼった地層のデータが採取できるはずだ。

過去調査の倍の深さ「10m分」の地層を採取

巨大地震の繰り返しパターンを解析へ

宍倉氏は今回の調査で成果が期待できる重要な点は、地下10mにわたって約8000年前までの地層の連続したサンプルを採取することだと力説する。
採取した地層サンプルを詳細に分析して、大津波の痕跡とみられる砂の層を見つけ出して年代を特定できれば、その津波を引き起こした巨大地震の繰り返し性が見えると考えているのだ。

今わかっている歴史地震よりはるか前にどんな周期で巨大地震が起きたのか、想定震源域の東側と西側のちょうど境目に位置し、すべてのパターンの地震による津波の痕跡が残っているこの紀伊半島の南端の地層を調べることが最善の方法だとしている。

直近の“南海トラフ全域での地震”は1707年「宝永地震」

これまで歴史の記録から確認できている南海トラフ地震は、684年の白鳳地震が最古のものだ。
そこから100~200年程度ごとに繰り返し南海トラフ地震が起きていて、直近で南海トラフ地震の想定震源域全体が一気に破壊されたとみられる地震は1707年の宝永地震としている。
しかし、震源域の東側と西側で時間差で大規模地震が起きた安政や昭和の地震など、一口に南海トラフ地震と言っても発生の仕方は多様で、過去9回ほどの歴史地震だけでは発生パターンを推測するのは難しい。

この状況を打破するかもしれない今回の調査研究について、宍倉氏は「今回の調査は、深さ10mまでの地層を連続的にきっちりとる。そうすれば過去8000年前までの津波の歴史がもれなく分かるのではないか。そこから地震の繰り返し間隔を読み取ることによって、将来、連動型と呼ばれる南海トラフ巨大地震が果たしてどれくらいの間隔で起きるか、そうした評価につながるのではないか。」と話している。

シミュレーションCG 提供:内閣府

さらに「前回の規模の大きい宝永地震から今、300年以上たっている。300年という経過時間が次の規模の大きい連動型地震の繰り返し間隔から見ると、どれくらいの経過時間にあたるのか。次の南海トラフ地震はもしかしたら規模の大きいものになるかもしれない。そうした予測に役立てる地層の調査だ」としている。

研究チームはこのあと紀伊半島の東側の那智勝浦町でも津波の痕跡を見つける掘削調査を行い、2020年の春頃に分析の結果を公表したいとしている。