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西日本豪雨から1年・・・聴覚障害者の避難誘導を劇的に変えた「イラスト」とは? 【岡山発】

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  • 災害時、聴覚障害者には必要な情報が届いていない。
  • 避難時にこそ、コミュニケーション手段が必須!
  • 消防と大学が共同開発した"新兵器"

「自分一人で逃げるのは難しい」

7月6日で西日本豪雨から1年・・・。自宅の1階が水没した、岡山県倉敷市の若林泰子さんは、今でも雨が降ると、あの日のことを思い出すと言う。

若林泰子さん(66):
あの辺りまでずっと水に浸かってた。家の上まで 怖かったです。本当にびっくりしました 。

若林さんは、生まれながら聴覚に障害がある。西日本豪雨の際は、同居する健常者の姉夫婦に連れられ、何とか避難したと言う。

若林泰子さん(66):
テレビ見ても速報が簡単で詳しいことわからない。
自分一人で逃げるのは難しいです。近所の人の協力を頂くことが必要。またそういうことが起きたら協力してもらうようにお願いしている 。

行政職員と話したくても、通じない・・・

岡山県内に甚大な被害をもたらした西日本豪雨では、聴覚障害者も、自宅など、7棟が床上・床下浸水した。
6月、仙台市で開かれた全国ろうあ者大会。東日本大震災や熊本地震などで被災した聴覚障害者が、自身の体験を語り、求められる防災について意見が交わされた。

熊本の聴覚障害者:
避難所に避難したとしても、行政のアナウンス聞こえない人には情報が届きません。

宮城の聴覚障害者:
役場の職員と話をしようと思っても通じない。筆談を求めても応じてもらえない。

避難時に必要なコミュニケーション手段

障害があるが故に陥る情報やコミュニケーションの不足に、どう対応したらいいのか。岡山県では、西日本豪雨後、独自の対策に乗り出している。
「セルフプラン」と呼ばれる表は、障害者個人個人の災害時の避難行動を、あらかじめ書き込むもので、自宅近くの避難所や移動手段はもちろん、聴覚や視覚、知的障害など、自分の障害の種類や程度に応じて必要な支援についても記す。

岡山県障害福祉課担当者:
出来上がったプランを携帯して頂いて、避難先にも持っていけるようにして、そこで障害特性を説明しなくても、プランを見てい頂くことで、よりよく支援を受けられれば。

現在は、記入項目を精査するため、各障害者団体を通じ、試験的にセルフプランの作成が行われている。

岡山県聴覚障害者福祉協会担当者:
避難した時手伝ってほしいことは?

坂口雅夫さん(60):
パソコンを使った遠距離手話通訳サービスがあれば、(避難所でも)手話で会話が出来る。

避難時のコミュニケーション手段の充実を訴えるのは、聴覚に障害がある岡山市東区の坂口さん。

西日本豪雨で経営する自宅1階の理容店が浸水したが、当時、避難所ではなく自宅での生活を選んだ。

坂口雅夫さん(60):
家にいたら周りの人に気を遣うこともない。

実は、指定された避難所は、浸水被害を受け、受け入れ場所が変更されていた。
当時はそのことも知らず、情報の面でも取り残され、的確な情報伝達に課題が出た。

避難誘導をスムーズにした”新兵器”

岡山市北消防署担当者:
これは、誰が見ても一目でわかる「災害対応ピクトグラム」というものです。

これは、岡山市消防局が、倉敷市の川崎医療福祉大学と共同開発したもの。
イラストを使うことで、災害時の避難誘導などを一目でわかるようにする全国初の試みで、火事現場で、聴覚障害者を避難誘導した経験から生まれた。

去年12月に、岡山市の大型商業施設で発生したボヤ騒ぎでは、このピクトグラムによる誘導で、約1万人がスムーズに避難。岡山市消防局は、今年4月から岡山市内の全てのポンプ車などにピクトグラムを積むことにした。

岡山市北消防署担当者:
周りからの指示で動いてもらうと動きにくいが、ピクトグラムを見せることで、自発的に動いてもらう自助に訴える効果出た。

全日本ろうあ連盟 石野富志三郎理事長:
聞こえないものにとっては、食べ物より情報。小さくてもいいので、何でもいいので、情報が欲しい。

災害時、聴覚障害者が取り残されないために。様々な手段での情報伝達が求められている。

(岡山放送)

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