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「シフトが夜勤ばかりに…」現役介護士に聞いた“介護の現状”

「人生100年時代」を考える。

カテゴリ:暮らし

  • 人手不足を補うための非正規職員増加も激務の一因
  • 外国人材は貴重な戦力だが、懸念点もある
  • AIやロボットはレクリエーションでの活躍に期待

昨今、介護人材の不足がたびたび話題になっている。

それを解消すべく、人材育成など厚生労働省を中心にさまざまな取り組みがされているが、実際に介護職に就く人から見た現状を見聞きすることはあまりない。

そこで今回は、漫画家と介護福祉士の二足のわらじで活躍する八万介助(はちまん・かいすけ)さんに話を聞いた。

「シフト」で人手不足を実感

前述のように、国をあげて介護人材の確保に躍起になっているが、実際にはどうだろうか?

八万さんは、「たしかに、人が足りないことを実感することはある」と話す。

「特に人手不足を感じるのは、シフトを決めるときです。たとえば介護老人保健施設の場合、夜勤だと2つフロアがあり50人ずつ利用者がいれば、介護職員2名ずつでナース1名の計5名を確保しなければいけません。人材が十分かどうかにかかわらず確保しなければいけないので、シフトが夜勤ばかりに偏ることもしばしばあります」(八万介助さん、以下同)

不足した人材を補うため、パートなど非正規職員が増えることも、激務につながっているという。

「パートの方だと、土日や正月、お盆などは休みを取るケースが多く、そこを少ない正規社員のみでカバーすることになります。早番と日勤、日勤と遅番をくっつけて、本来よりも長く働かなければ間に合わず、シフトがきつくなるのです」

こうした激務が続くことで、ただでさえ足りていない人材が、さらに減っていくことも。これまでの経験上、10年以上続けているベテランはどの現場にもいるそうだが、せっかく新しく入ってきた人材が辞めていくことも日常茶飯事。

八万さんは、「このままでは、フロアを減らして受け入れ人数を減らすなどしなければいけない。質の高いサービスも難しくなるのでは?」と現状を嘆く。

「外国人材」にも懸念点がある

おもに東南アジアの国々から人材を確保する動きもみられるが、八万さんが働く職場にもベトナム人が数人いるそう。

「貴重な戦力」と評価する一方で、懸念点もあるという。

「『はい』『いいえ』など受け答えができ、『トイレへ行きましょう』など簡単な言葉は理解できるので、今のところコミュニケーションに問題はありません。また真面目にやってくれて、貴重な戦力になっていることは間違いありません。ただ、彼らはお金を稼ぎに日本へ来ることが多いのですが、働ける時間に縛りがあるので、そこにギャップがあるのも事実です。こっそり掛け持ちしたり、逃げてしまったりする原因のひとつになっているのではないかと感じますね」

また、寝たきりの人や認知症の人が快適に過ごせるように「業務」だけではなく、その人に合った「ケア」を考えるなど、「日本の場合は提供する側も、提供される側も、『質の高いサービス』を求める傾向がある」とし、「このやり方は、効率よく仕事をしたい外国人材にとっては理解しがたい部分かもしれません」と続ける。

AIやロボットは介護に不向き?

さらに今回は、近年注目されている介護用ロボットやAIについても話を聞いたのだが、八万さんいわく「介護に取り入れるのは難しい気がする」とのこと。

「新しい湯船を購入するのでさえ躊躇するようなところはたくさんあります。そんな状況でロボットやAIを導入できるとは思えません。また経済的な面だけでなく、介護は繊細さを求められる仕事のため、カバーしきれない部分もあると思います。認知症の利用者は、足の骨が折れていても歩こうとすることもあり、その場合は立ち上がろうとした瞬間に飛んでいき、危険を説明してもう一度臥床(がしょう)していただきます。寝かせ方だって一人ひとり最適な方法は違うので、そうした細かいところまで考えてやってくれるなら助かりますが…」

それを考慮して、八万さんは「話し相手になったり、レクリエーションをしてくれたりするロボットなら欲しい!」と話す。

「利用者にしてみれば、ご飯を食べて、排せつして、寝て、起きてだけではつまらないですよね。レクリエーションは大事なことなのですが、人材が不足している現場ではそこまで手が回らないことも多いのが現状です」

介護人材の不足は、働いている人たちの負担が増えるということだけでなく、利用したくてもできない人が増える要因にもなりうる。これからの時代、「他人事」ではなく「自分事」として考えるべきなのかもしれない。

取材・文=明日陽樹/TOMOLO
取材協力=八万介助

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