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キーワードは「穏やか」。在宅か施設か、介護の“場所”を選ぶときに大切なこと

「人生100年時代」を考える。

カテゴリ:暮らし

  • 在宅と施設では、「誰がどのくらい介護を担うか」の違いが大きい
  • ただ専門家の言いなりになることがデメリットになることもある
  • 「介護」とは、年齢とともに歩ける距離が短くなること

人生100年時代、いつかは訪れる「介護」への心構えはできているだろうか?

たとえば、在宅介護をするか、有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの施設を利用するかなど、自分で判断すべきことはさまざまある。しかし簡単に決められる人は少ないはずだ。

そこで今回は、神奈川県にある「めぐみ在宅クリニック」院長の小澤竹俊さんに話を聞いた。

在宅と施設の違いは“誰が介護を担うか”

在宅介護と施設利用ではどんな違いがあるのか。おそらく、もっとも知りたい情報のひとつだろう。小澤さんは、「あえて言うなら、その違いは『誰が介護を担うか』」と話す。

「介護施設といっても『介護付き有料老人ホーム』や『特別養護老人ホーム』、『介護老人保健施設』、『サービス付き高齢者向け住宅』など種類はさまざまあり、在宅でも同居するかしないかという問題があるので一概には言えませんが、介護施設なら職員がその多くを担い、同居で在宅介護を選択するなら家族が担うことになります。もちろん経済的な差もありますが、誰がどれくらい介護に携わるかによって、身体的な負担の軽減になる可能性もあります」(小澤さん、以下同)

在宅介護の場合、精神的負担にスポットが当たることが多いものだが、小澤さんは「全部自分で面倒をみたい人がいれば、介護施設に預けて月に一度面会するだけでもつらい人もいて、個別性が高すぎるので精神的な側面でアドバイスすることはない」と続ける。

介護で大事なのは、穏やかでいられるかどうか

こうした違いを理解した上でどちらを選択すればよいのか、小澤さんは「制度を知ることも大事かもしれませんが、それよりも穏やかでいられるかどうかを基準にすべき」という。

「ケアマネージャーなどその道のプロから専門用語を使ってワーッと説明されると、その言葉に従ってしまう人が多い。しかし、それだけはしてほしくありません。『みんなデイサービスを利用している』と言われて従ったものの、むしろストレスがたまり悪化してしまうといったこともありますから。大事なのは、介護する側とされる側のどちらも穏やかでいることです。

『介護』というのは、わかりやすくいえば年齢とともに歩ける距離が短くなること。買い物をして食事を作り、自分で食べて後片付けをし、お手洗いやお風呂に入って寝る。それがだんだん外へ買い物に行けなくなり、家の中でもお風呂に行くのがしんどい、お手洗いまで歩けないなど、自分で行ける場所が減っていくのです。その程度に合わせて、そのとき必要なものを選択することが大切です」

たとえば自分で面倒をみたい人がいたとして、一方で、介護される側はおむつ交換を家族にされるのがイヤだとする。

それなら、おむつ交換だけをプロに任せ、そのほかを自分が引き受けるなど、お互いが心穏やかでいられるポイントを探すのが、介護サービスの選択において重要視すべきところという。

また小澤さんは、「『介護の知識=制度を理解すること』と捉えがちですが、『どう向き合うか』を優先してほしい」とも。

「いくら本を読んで勉強しても、実際にやってみないとわからないことが山ほどあります。だからあまり気を張らずに、どの制度・サービスを利用すれば穏やかになるかを考えてください。その上で、必要な知識を深めていくといいでしょう」

“この場合は、この制度・サービスを利用する”と型にはめるのではなく、自分たちに合った介護を見つけることが大切。その選択のための第一歩が、お互いが穏やかでいるためには何が必要かを考えることなのだ。

取材・文=明日陽樹/TOMOLO
取材協力=小澤竹俊
http://www.megumizaitaku.jp/

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