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返納したくても生活できない…地方の高齢ドライバーの複雑胸中

カテゴリ:国内

  • 75歳以上の免許返納率は全国で約5.4% 割合が高い東京と低い高知で調査
  • 地方では運転手不足で路線バスが減便傾向…
  • 返納したくても返納できない地方の高齢者の本音は?

全国で相次いで発生している高齢ドライバーによる悲惨な交通事故。

そんな中、6月7日に俳優の杉良太郎さん(74)が運転免許を自主返納し、俳優の伊東四朗さん(81)も3年前に免許を返納したことを告白して話題となっている。

しかし、街で高齢ドライバーに免許についての考えを聞くと…

男性(80):
今のところは考えてないです。

男性(76):
返納は全然考えていません。

ニッセイ基礎研究所の調査によると、75歳以上の高齢ドライバーの免許返納率は、最も高い東京で約8.2%、最も低い高知では約3.8%。全国平均は約5.4%とまだまだ低い水準だ。

そこで今回の「ココ調」は、75歳以上の高齢ドライバー102人に緊急アンケートを実施。なぜ免許を返納できないのかを調査した。

運転が好き・身分証明書として「80歳になったら返納」

まずは、免許返納率が全国で一番高い東京で返納しない理由を聞いた。

男性(76):
必要に応じて運転できないとまずいなと。何かあった時に。急に家族の元に駆けつけるとか、そういう必要が生じた時にあった方が便利かなという気がする。

普段はあまり車を運転しないというこの男性は、緊急時の備えとして免許を持っているのだという。

男性(76):
80歳になったらやめようかな。いつまでも乗れる乗れると思っていたらちょっとまずいんで。どこで返さなきゃいけない。

別の高齢ドライバーからは、次のような理由が挙げられた。

男性(77):
まだまだ乗りたいから。

――運転が好きなんですか?

男性(77):
好きです。もう60年運転していますから。

返納できない理由は、運転が好きだから。近所の病院や買い物のほか、夫婦での旅行などのために車を運転しているという。

男性(77):
去年、800kmくらい走っているから、高速道路でね。やっぱりまだ乗れる時は乗ります。

続いて、こちらの男性は…

男性(77):
車買ったばかりだよ。まだ300kmしか走ってないよ。趣味、運転と釣りだもん。この間もアユ釣り行ってさ。

――どこまで行かれるんですか?

男性(77):
山梨。

趣味の釣りのためには車が不可欠。新車を購入したばかりで、今すぐの返納は考えていないというが…

男性(77):
80歳になったら(返納を)考えるけどね。腰が悪いし、釣りができなくなったら。

女性からは次のような声が。

女性(79):
自分で運転していたらきっと(返納を)考えると思うけれど、運転しないから。持っているだけだから。 運転免許証は、持っているといろんな証明書になるから。

この女性は運転免許を証明書としてしか使っておらず、身分証として必要だという。

実は返納後、5年以内に申請すれば、公的な身分証明として使える「運転経歴証明書」の発行が可能。
各地の免許センターや警察署などで申請・交付することができ、交付手数料は地域によって異なるが約1000円ほどで、生涯有効だ。

実際に運転経歴証明書を発行したという男性に話を聞くことができた。不便はないのだろうか。

男性(87):
都内はね、交通に不便は感じないね。ほとんど都営の地下鉄とか、都営バスにのれるでしょ。

都内の調査では、証明書のためや趣味のために必要としている人たちがいる一方、返納しても生活に困ることはないという意見もあった。

「田舎では車が生活に必要不可欠」安全のため自らルール設定も

しかし、公共交通機関が充実しているのは全国でも一部の都市に限られているのが現状だ。
そこで、免許の返納率が最も低い高知県でも調査を行った。

――免許の返納は考えていない?

男性(82):

考えていない。病院に行ったりもやっぱり車がなかったら田舎は生活できない。

都市部には路面電車やバス、タクシーなどの様々な交通手段がある高知県だが、県内の多くの地域ではバスが1~2時間に1本ほどの間隔で運行されているだけ。日常生活を送るに免許が必要不可欠なのだという。

男性(82):
今日はちょっと買い物に行きたい。

――ご自身で運転されて行く?

男性(82):
そりゃ自分で行かなかったら誰も連れて行ってくれんもん。

家から最寄りの街まで大好物の食パンを買いに行くという男性に同行させていただくことに。

横山ルリカ リポーター:
本当に歩いている人いないですもんね。皆さん車ですもんね本当に。

目的のお店は自宅から約6km。駅からは1km以上離れていて、バスの本数も少なく車で行く以外の選択肢がないのだそうだ。

男性(82):
(車が)なかったら何もできない。

続いて、農産物の直売所に買い物に来ていた男性は…

男性(75):
37年間トラックに毎日乗っていた。若い衆にはまだ負けない、トラックに乗ってたから。

運転に自信があるのにはもう1つ根拠があるという。

男性(75):
こういう優秀マークを持っている人はね、そんな(危ない)ことすることはない。

――これはどういうマーク?

男性(75):

これは無事故無違反20年。

この男性は20年以上の無事故無違反を称えられ、交通安全協会から優良運転者表彰を受けている。

男性(75):
それで自分が考えるわけよ、遠くへは行かないと。だいたい乗っても1時間までの距離で、そして日が暮れたらもう乗らない。危ないから。

自信があるからといって過信せず、自らルールを設定して安全に配慮していた。

続いては、道路脇でトウモロコシを販売する女性。

――車の運転はしますか?

女性(79):

トラックを運転します。

――あちらのトラックを運転して収穫などしている?

女性(79):

そう。

トラックがなければ畑で収穫したトウモロコシなどの農作物を運搬できないため、運転免許が必要なのだという。

――もし免許を今日返納したら、生活はどう変わる?

女性(79):

生活はもう寝たきりになっちゃうね。家にこもらないと。まだ元気だから、仕事がしたいから。

高齢者講習のために自動車学校に来ていた女性にも話を聞いた。

女性:
子供をあてにしないといけなくなるし、人に乗せてもらってばかりだと気も遣うし。

家族や周囲に負担をかけてしまうため、返納できずにいるのだという。

「免許返納を考えた」は6割超

一方、今回の調査の中で意外と多かった意見がある。

男性(79):
あちこちで事故が起きているし、返納というのは考えるのは考えている。

75歳以上の高齢ドライバー男女102人に聞いたところ、約6割が免許返納を「考えたことがある」と回答した。

返納したくてもできない人が多いことについて、専門家は次のように指摘する。

道路交通評論家・中村拓司さん:
人生100年時代といわれるようになり、70代80代の方たちがこれから20年30年と生活する上で、特に地方部ではバスの路線が次々と廃止されたり生活の足自体がなくなっているということで、免許を返納しようと考えたとしてもそれが現実的ではないということが問題です。

道路交通評論家・中村拓司さん

横山ルリカ リポーター:
ココ調の調査だけでも、免許を返納しない背景には様々な理由がありました。特に高知県では、「返納したくてもできない」という声が多く聞かれました。

免許の返納を呼びかけるだけでなく、高齢者が自ら運転をしなくても生活に困ることがないような対策が求められている。

(「めざましテレビ」『ココ調』6月14日放送分より)

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