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金融庁試算「老後に不足…金融資産2000万円」を年金受給者は用意できている?

カテゴリ:国内

  • 「年金以外に夫婦で2000万円の貯蓄が必要」試算に野党から批判続出
  • 年金受給者「金額が大きすぎる」“金融資産”に住宅は含まれない?
  • 厚労省データでは「60代の7世帯に1世帯が貯金ゼロ」専門家の見解は

連日、野党の追及が過熱する「老後に2000万円不足」するという金融庁の審議会の試算。これに対する年金受給者の本音を取材した。

6月11日、麻生太郎金融担当相は会見で「夫婦で95歳まで生きると、年金以外に2000万円の蓄えが必要」という試算を出した金融庁の審議会による報告書の受け取りを拒否すると述べた。

麻生金融担当相:
世間に著しい不安と誤解を与えており、これまでの政府の政策スタンスとも異なるので、 正式な報告書としては受け取らない。

これに対し、野党からは批判が続出。

立憲民主党・辻元清美国対委員長:
麻生さんが急に言い出しているのは異常事態ですよ。

国民民主党・玉木雄一郎代表:
(受け取りを拒否していたら)ますます老後の暮らしは不安になるのではないか。

与党内からは、自民党の二階俊博幹事長が 「(報告書は)国民の皆さんに対して、 誤解を与えるだけではなくて、むしろ不安を招いていた」と発言し、政府は火消しに追われた。

「ギリギリの生活」年金受給者の本音

そもそも国民年金(基礎年金)とは、20歳から60歳未満までが加入し、40年間保険料を納付した人に原則65歳から満額支給されるシステム。

政府は年金を「100年安心」と謳っていたが、今回の報告書では、65歳以上の夫と60歳以上の妻の無職の夫婦の場合、毎月の収入は約21万円で、 支出はそれを上回る約26万円。約5万円の赤字が出るため、老後30年生きると約2000万円不足するとの試算を発表していた。

この額を街の年金受給者はどう受け止めたのか。

【金融資産なし・年金は月1~2万円】自営業の男性(77):
ちょっとピンとこないね。(2000万円貯蓄は)金額が大きすぎるので。蓄えは無いです。

【金融資産2000万円未満・年金は月5~6万円】パートタイマーの女性(71):
2000万っていうお金は、絶対に蓄えられないと思う。子供を育てて(服を)着せて食べさせて、学校、教育をさせて…だから今70を過ぎてるけど、パートに行って(給料が月に)3~4万円。

さらに、金融資産については、こんな誤解もあった。

――(金融資産)2000万円ありましたか?

【年金は月約25万円】不動産関係の男性(75):
自宅とかそういうのを入れれば軽くあったね。

――自宅を入れなければ?

【年金は月約25万円】不動産関係の男性(75):
自宅を入れないと無いよ。住宅ローンから何から(現金で)みんな整理しちゃったから。

金融資産とは、現金をはじめ、預貯金、有価証券などの 「すぐに現金化できるもの」を指す。その一方で、家やマンション、車などは価格が変動しやすく、金融資産には含まれない。

その金融資産2000万円を用意できているという人もいた。

【金融資産あり・年金は夫婦でつき約 20万円超】航空関係の男性(72):
あったと思います。退職金があったから。今でもフルタイムで働いているので、あんまり年金のことを考えたことがないですね。

「平均保有金融資産 2252万円」

ただ、今回発表された報告書には気になる点がもうひとつある。

総務省のデータをもとに作成された60代後半の平均金融資産額では、単身世帯では男性が1552万円、女性が1506万円と1500万円を超え、2人以上の世帯では2252万円にも上るという。

しかし、厚生労働省発表の60代の貯蓄額のデータを見てみると、2000万円以上の世帯が約22.3%であるのに対し、2000万円未満の世帯は約67%だ。
中でも貯蓄がない世帯は約14%と、 実に7世帯のうち1世帯が貯金ゼロとなる計算になる。

こうしたデータから浮き彫りになる貯蓄額の格差。

年金の専門家は、今回の報告書が示す 「年金受給だけでは生活費が足りない」という警鐘は、 驚くようなものではないと指摘する。

ファイナンシャルプランナーで税理士の清水明夫氏:
(年金だけでは)足りないのは当たり前で、自己防衛で自分で貯めるしかない。退職金とかもこれからはなくなる時代だと言われていますから、(自分に必要な不足額は)退職までにお金を貯めないといけないですね。

取材では、「年金受給だけでなんとかやり繰りできている」という人の中にも、生活費の他に突然の病気による医療費や葬儀にかかる費用など、急な出費への蓄えについても不安を抱えているという声が聞かれた。

麻生大臣が報告書の受け取りを拒否したことについては、7月に控えた参院選を見据えての対策であるとの見方もあり、「責任逃れをしているのではないか」という批判も出てきている。
野党は、この問題を参院選の争点にすることを表明し、今後も追求していく構えだ。

(「めざましテレビ」6月12日放送分より)