2歳女児衰弱死“再三の通報を受けながら…” なぜ幼い命は救えなかったのか?

カテゴリ:国内

  • 札幌で2歳の女児が衰弱死 母親(21)と交際相手の男(24)が傷害容疑で逮捕
  • 虐待疑いの通告が3度も児童相談所に寄せられていたが、幼い命は救えなかった
  • 警察と児相は「臨検」の立ち合いについて、「断った」「断られた」の押し付け合い

繰り返し寄せられていた「虐待疑い」

今月5日、札幌市中央区の池田詩梨(ことり)ちゃん(2)が衰弱死し、飲食店勤務の母・池田莉菜容疑者(21)と、その交際相手で飲食店を経営している藤原一弥容疑者(24)が詩梨ちゃんに対する傷害などの容疑で逮捕された。

詩梨ちゃんの死因は栄養失調などによる衰弱死。その体重は2歳児の平均体重の半分にあたる6キロほどしかなかったという。

札幌市の児童相談所には、詩梨ちゃんの虐待を疑う通報が、警察からのものも併せて3回あったことが明らかになっている。
再三にわたる通報を受けながら、なぜ詩梨ちゃんの死を防げなかったのか?

「直撃LIVEグッディ!」では、今回の児童相談所の対応について、児童相談所に19年間の勤務経験がある心理カウンセラーの山脇由貴子さんが解説した。

立本慎吾フィールドキャスター:
今回、児童相談所が詩梨ちゃんを救うチャンスは3度ありました。1度目は、去年9月の通告です。

<去年9月28日 1回目の通告>
・児童相談所へ、第三者から「託児所に預けっぱなしで育児放棄が疑われる」と通告があった

・児童相談所は家庭訪問し、莉菜容疑者と詩梨ちゃんに面会したが、あざや傷痕などはなかった

・さらに、託児所に預けっぱなしにしている事実も確認できなかったため、虐待はないと判断した


安藤優子:
1回目の通告で預けっぱなしにしているという通告があったということは、ネグレクトが疑われるわけですよね。それなのに「あざや傷がないから虐待なし」と判断するのは、なんだかズレているように感じるのですが…

山脇由貴子氏(心理カウンセラー):
児童相談所は傷・あざで判断しがちというか、じゃあ発育状況はどうだったのか疑問ですよね。その時点で託児所に預けっぱなしにしていないことが分かったのであれば、逆に言えば日常的に子供の安否確認をする術がないということなので、この段階ではこの子の安否確認をどうやって日常的にしていくのか検討するべきだったと思います。


その後、今年4月5日、児童相談所に「昼夜を問わず子供の泣き叫ぶ声が聞こえて心配」と2回目の通告があった。児童相談所の職員は数日にわたって電話・家庭訪問を行うもすべて不通・不在で、莉菜容疑者と詩梨ちゃんには会えなかったという。


立本:
そして3回目の通告は、近隣住民から警察署に通報がありました。

面会に同行せず 児相が「虐待なし」とした根拠は…

<先月12日 3回目の通告>
・近隣住民から警察署に「子供の泣き声がする」と通報があった

・翌日、警察から児童相談所へ「虐待の疑いがあるため」池田容疑者宅への同行の提案があったが、児童相談所の職員は「夜遅いので厳しい」と答えた

・その後、警察が単独で母子と面会し、児童相談所に「虐待を疑う状態ではない」と報告
→児童相談所は、警察の報告を受け、虐待なしと判断


伊藤洋一(エコノミスト):
どんな警察官が行ったか分からないけど、警察官から「どうも虐待はないみたいですよ」と報告されて「分かりました、良かったです」となるのは、児童相談所が専門家としての役割を果たしていないと僕は思うんですけど、どうですか。

山脇氏:
児童相談所が調査をして判断しなければいけないので、警察からの一報で「はい、大丈夫」ということはあり得ません。警察は「緊急の保護は必要ないと判断したけど、あとの生活状況などの調査は児童相談所さんお願いします」という報告をしたのだと思います。そこからは児童相談所が調査をするべきです。

立本:
さらに警察から児童相談所に、臨検(強制力のある立ち入り調査)の提案があったそうなんです。しかし、児童相談所はそれにも応じなかったということが、新しい事実として明らかになりました。

倉田大誠アナウンサー:
警察はそれくらい緊急性が高いと見ていたわけですね。

山脇氏:
警察からの同行依頼って、そもそもほとんどないんですよ。警察から臨検を提案されることなんて全くないと言っていいくらい、ありません。ふつう、児童相談所が警察に同行のお願いをするんです。ましてや会えていないわけですから、警察から臨検しましょうと提案があったのであれば「ぜひお願いします」と言って一緒についていくべきだったと思います。

立本:
その後、児童相談所は警察に「今度行く時があれば同行させてほしい」と伝えていたそうなんですが、結局警察は単独で母子と面会しました。これに関して、札幌児童相談所の高橋所長が改めて会見でこのように語りました。

<10日午後2時半すぎの会見にて>
先月14日、再び警察著から連絡があったが「翌15日、母親(池田容疑者)と面会の約束をした。調整の結果、今回は警察のみで対応したい」という内容だった
児相には遠慮してほしいということだったので、同行しなかった


立本:
山脇さん、こういったことってあるんでしょうか?

山脇氏:
児童相談所がなかなか動いてくれないから、警察は仕方なく自分たちだけで行ったんじゃないかという風に私は思いますが…児童相談所は、会えるチャンスとして絶対に行くべきだったと思います。

高橋克実:
みんなそれぞれ大きさは違いますけど、2歳で6キロって…体重だけで言えば大きい赤ちゃんですよ。くるまれていたら赤ちゃんにしか見えなかったのかもしれないし、その辺をよく分かってる人が行かないと、判断が難しい場合もあるんじゃないですか。

山脇氏:
警察は当然、児童虐待の専門家ではないので、子供の発育の判断も警察だけではつきにくいです。やはり児童相談所には警察と一緒に自宅へ行ってもらって、子供の状態を見てほしかったと思います。母子手帳を見せてもらって、きちんと検診を受けているのか、体重の推移はどうで、現段階の体重はどれくらいなのか、これらは当然、確認するべきです。

安藤:
児童相談所はプロですから、ただ見ただけでは分からない部分を見なければいけないですよね。先ほど山脇さんは「児童相談所は親と敵対せず、信頼関係を築く中で子供の姿を確認しようとする」方針を取ることが多いという話をしていましたが、警察だけが行って「開けなさい!」とするのは対立関係が生まれやすいような気がするんですが…

山脇氏:
そうですね。警察が臨検に入る場に児童相談所が一緒に行っていれば、「警察は通報があって来てますけど、私たちはお母さんを助けたくて来ているのでお話聞かせてください」「私たち児童相談所はお母さんの味方ですからね」っていう役割分担もできたと思うんですよ。そういうことも、児童相談所は考えるべきだったと思います。

安藤:
今回は、近所の方が通報・通告を3度もしているにも関わらず、その通告を受けた側が動かなかったというのは、最悪の事態だなと本当に思います。14日にはこうした事案を受けて、全国の児童相談所の所長が緊急に集まっての会議が開かれることになっています。

(「直撃LIVE グッディ!」6月10日放送分より)