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「元気でいることと、運転ができることは別」…風見しんごさんが語った、“認知症の父と運転”

カテゴリ:国内

  • 俳優の杉良太郎さんが運転免許証の返納を啓発するために、自ら率先して返納
  • 風見しんごさん「運転をめぐって父親と戦った」
  • 罪悪感を感じながらも、父に運転させなかった理由とは

人を傷つける前に」杉良太郎さんが“免許返納”を決断

7日、東京・品川区の鮫洲運転免許試験場に現れた、日本を代表する名優の1人“杉さま”こと杉良太郎さん(74)。

杉さんが試験場を訪れた理由は、運転免許証の返納。
相次ぐ高齢者による事故を未然に防ぐ方法の1つである「免許返納」を啓発するために、自ら率先して返納することを決めたという。

これまで、ロールスロイスやポルシェ、ベントレーなど数々の名車を運転してきた杉さん。免許返納で自ら運転する事はできなくなったが、後悔はなかったのだろうか?

杉良太郎:
私の(免許更新の)時期は8月なんですけど、6月にもう前倒しをして返納しようと。近ごろ、高齢者による事故が多発している。家族の人たち、本人が若いときから比べたらちょっと反応鈍いかなとか判断したときは、人を傷つける前に(免許を)お返しする。それが賢明なことじゃないですかね

父との「運転」めぐる戦いを告白

「直撃LIVEグッディ!」のスタジオには、かつて運転をめぐり認知症の父親と“戦い”を繰り広げたという風見しんごさんが生出演した。

立本慎吾フィールドキャスター:
高齢ドライバーの事故が相次いでいます。大きく注目されたのは4月19日に母子2人が死亡した池袋暴走事故だと思いますが、6日も大阪市や名古屋市で高齢ドライバーの操作ミスによりけが人の出る事故がありました。さらに7日も千葉市で、幸いけが人は出ていませんが、80歳のタクシードライバーがアクセルとブレーキを踏み間違え、歩道に突っ込む事故が起きました

倉田大誠アナウンサー:
風見さんは、これまでに起きた高齢ドライバーによる事故をどうご覧になりましたか?

風見しんごさん:
ご高齢の方にはいつまでも元気で過ごしていただきたいんですけど、元気でいらっしゃることと安全運転ができることは全く別問題です。これだけ立て続けに起きているということは、犠牲になった人たちすべてからの「そろそろ本気で考えましょう」というサインではないのかなという風に感じています

立本慎吾フィールドキャスター:
運転免許証の自主返納は、2018年には過去最多の人が返納し、今年に入っても増えてはいるんです。しかし…

・75歳以上の免許の自主返納数は過去最多の29万2089人
⇒しかし、75歳以上の免許保有者の5.18%にしか満たない



安藤優子:
これだけ多くの事故があって、おそらく高齢ドライバーの皆さんの頭の片隅に「そろそろ返納」という考えはあるんだと思います。でも、いろんな状況を鑑みて「すぐに返納」ということにはつながっていないように思います。頭の片隅にあるものを、実際に免許返納というアクションにつなげる何かが必要だと感じます

土屋礼央:
うちの母は5年くらい前に返納しました。実家では母しか免許を持っていなかったので、返納したら行動が狭まるなと思っていたんですが、いざ返納すると、その中でやっていますよ。その中での生き方を探すので。でも僕は「なんで免許返納しないんだ」って、返納しない高齢者が悪者のように見えてしまうのが気になっていて…国が何とかしてほしいなって思います

“免許返納”以外の方法をとった理由とは

免許を返納するのは、高齢ドライバーの事故を減らす一つの方法。
しかし、風見さんは返納以外の形で父親の運転をやめさせたという。

<家族に高齢ドライバーがいた風見しんごさんの場合>
・父親の車の鍵を隠し、運転させないようにした
⇒普段、車の運転をする父が認知症と分かったから


風見しんごさん:
うちの父は認知症なので、免許証を返納しても返納したことすら忘れてしまうかもしれない。鍵を持って差し込んで、エンジンをかけてしまったらおしまいですから、とにかく(当時は)車から父を離すことを第一優先に、鍵を奪いました

立本慎吾フィールドキャスター:
認知症の症状が出ていると知ったきっかけは、どのようなものだったんですか?

風見しんごさん:
当時、父は広島で一人暮らしをしていたんですが、田舎の一人暮らしなのでどうしても車が必要だったんです。でもある日、父の友人から僕の方に電話があって「ちょっと(父の)様子がおかしい」「先日、高速道路を走っている最中にブレーキをかけて止まった。どうした?と聞いたら、赤信号だった(と父が答えた)」と。
あとは、後ろのボンネットが開いたままで、バックミラーで後ろの車が確認できないにも関わらず、ずっと走り続けたり…そういう「ちょっとおかしい」ことが何度かあったので医師に診断を受けたら、父は65歳と若かったんですが、アルツハイマー型認知症の初期であると

宮澤智アナウンサー:
それ以外では、接していても特に「あれ?」と思うところはなかったんですか?

風見しんごさん:
ないんですよ。認知症って「認知症になりました」と言われても、その日から24時間認知症なわけではないんです。ものすごくまだらにやってくるもので、父が運転したがる時は変な言い方ですけど、認知症ではなく普通の父なんです。だけど、もし運転している最中に認知症の症状が出てしまったら…と考えて、とにかくエンジンをかけさせない方法を取りました

安藤優子:
お父さまは運転がお好きだったんですか?

風見しんごさん:
もちろん。田舎の一人暮らしなので、車だけの生活と言っても過言ではないです。車の運転には自信を持っているタイプの父でした

安藤優子:
最終的に、お父様は車を運転しないことに納得されたんですか?

風見しんごさん:
いえ、とにかく認知症ということを認知できないので。「認知症ですよ」と言われても、次の日にはそのことを忘れているんです。毎回、運転させないようにあの手この手でやるしかなかったですね

安藤優子:
風見さんはそうやって、事故を未然に防がれたんですね


風見さんは、「親の免許返納」について家族で話し合う難しさについて、このように話した。

風見しんごさん:
家族みんなで、例えばお父さんに免許返納について話すって、本当に言いづらいんですよ。父が認知症だという理由があっても、ものすごい罪悪感とむなしさ、心苦しさを感じました。「運転させろ」と言う時の父は認知症の症状が出ていない時なので、父としては正論なんです。「免許を持ってる自分の車をなんで運転しちゃいけないんだ。息子のお前にそんな権利があるのか」って言われますから。でもそれを止めなければいけないというのは、認知症でなければより厳しい問題だと思います

父から鍵を取り上げた時は親に対して罪悪感を感じたりしていましたが、娘の事故があった後は「もしもうちの父が加害者になっていたら」と想像して。「鍵を取り上げるのは苦しかったけど、ああするのが正解、ああするしかなかったんだ」というのは、娘が教えてくれたような気がします。


いつか誰もが直面する“免許返納”の問題。「もしも家族が、自分が加害者になったら」…いま一度、考えてみてほしい。

(「直撃LIVE グッディ!」6月7日放送分より)