相次ぐ高齢ドライバーの事故…対処法はあるのか?専門家に聞いてみた

カテゴリ:国内

  • 高齢ドライバーによる危険運転の目撃が相次いでいる
  • 高齢ドライバーの事故原因は“有効視野”?専門家が解説
  • 危険な兆候に気付くために大切なこととは

なぜか歩道を走る2台の車に…

県道を逆走する車。

目撃者によると、いずれの車もハンドルを握っていたのは高齢者だったそうだ。

連日、目撃が相次ぐ高齢ドライバーによる衝撃的な危険運転。3日夜、大阪市此花区でも80歳のドライバーによる事故が起きた。

男が運転する車は、スーパーの駐車場で後ろ向きに停車スペースに入ろうとしたが、突然、暴走。駐輪場に進入し、子供2人を含む歩行者4人をはねた。男は事故原因について「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と供述しているという。

「直撃LIVEグッディ!」のスタジオでは、高齢者の危険運転に詳しい山梨大学大学院の伊藤安海教授に、高齢ドライバーの危険な兆候を自身や家族で気付くことができる、4つのチェック方法について解説してもらった。

木下康太郎フィールドキャスター:
大阪市の事故では、駐輪場にある鉄のポールが根元からぐにゃっと折れていたそうです。はねられた歩行者4人は幸いにも軽傷でしたが、それなりのスピードで突っ込んだということがわかりますね

倉田大誠アナウンサー:
今回は駐車場で起こった事故でしたが、こういったある意味狭い場所での事故は多いんでしょうか

伊藤安海教授:
そうですね。駐車場は、狭いところで自分の車がどういう向きにあるかなど空間認知能力を使います。
さらにアクセル・ブレーキ・ハンドルを常に操作していますので、やはり操作の間違いはしやすい場所です

<なぜ駐車場で高齢ドライバーの事故が多いのか?伊藤安海教授によると…>
・高齢ドライバーは空間認知能力が低下している
・駐車場では細かい動作が必要
・細かい動作が多いと、高齢者は周囲に気を配れなくなる
・後ろを見ながらの操作になると、位置関係や自分の足のポジションなどが瞬時に把握できなくなり
 事故につながる


木下康太郎フィールドキャスター:
さらに、高齢者の“有効視野”の狭まりも事故の原因ではないかと言われています

<有効視野とは>
・どこかに注視した時に認識できる視野範囲のこと
・状況や心理要因で変化し、加齢とともに狭まる
・徐々に進行し、自覚できないことが多い

木下康太郎フィールドキャスター:
イメージを見ていただくと、40代ではきちんと見えているものが、70代になると三分の一くらいに狭まる人もいるんだそう。しかも自覚症状がないので、三分の一の視野に狭まっても、昔のように見えていると思っている人もいるかもしれません。実際に運転している状態ではどのように見えるのか?こちらをご覧ください

木下康太郎フィールドキャスター:
街中を走行した時、高齢ドライバーの視野は大体これくらいなんじゃないかというイメージ図です。左右にも人通りがあるにも関わらず、高齢ドライバーには黄色い丸の人や車しか見えていないのではないかということです

安藤優子:
高齢者って、大体どれくらいの年齢を対象として考えているんでしょうか

伊藤安海教授:
私が研究していても、日ごろから情報をしっかり取るなど、かなり脳を使っている方は、70代80代でもかなり能力が高い方もいらっしゃいます。逆に60代でも加齢によって能力が落ちているなという方もいらっしゃるので、一律に年齢じゃない部分はありますね。ただアメリカの大規模調査の結果を見ると、その(有効視野)能力と加害者になる率が非常に高い相関が出ているんです

安藤優子:
視野が狭くなればなるほど事故を起こす率が高くなるんですね

伊藤安海教授:
いわゆる心理的な視野ですね。視野計測をすると見えているんですけど、どこかに注目しちゃうと他のところが見えなくなる。要するに、目には入ってきているけど意識はできないという状態です

安藤優子:
それって簡単に言うと、加齢とともに注意散漫になっちゃうということですか

伊藤安海教授:
いいえ。一か所に集中しすぎてくるので、ある意味だんだん子供に近くなってくるんです。「あ、ボールが道路に出ちゃった。ボール、ボール…」と追いかけている時に横の車が見えないとか。それと同じで、左から車が出てきたから危ないなと思って見ているうちに、右側が見えていなくて…と

北村晴男弁護士:
僕も運転を日常的にするので、他人事ではないですね。有効視野を含め、自分がどういう能力の状況なのか知りたいと思いました

伊藤安海教授:
そのように、意識の高いシニアの方も多くいらっしゃいますよ。私は10年以上、シミュレーターを使って検査したり、能力の分析をしています。皆さん検査結果を持って、私の運転はどうなのか解説してほしいと集まってくるんですよ。そうやって自分の(能力の)どこが落ちていて、どこがまだ大丈夫なのか、把握することは大切です

木下康太郎フィールドキャスター:
伊藤さんに、高齢ドライバーの方はこのような兆候があったら注意してほしい、というポイントを4点あげていただきました

<あなたは大丈夫?危険な兆候>
・車庫入れで斜めに停止してしまう、ハンドルを切り返す回数が増えている
・車体によく傷がついている
・高速道路の利用や車線の合流が怖く感じる
・急発進や急ブレーキ、急ハンドルなど運転が荒くなった(と言われるようになった)

伊藤安海教授:
これは有効視野などよりも、比較的分かりやすいものを挙げています。ただ、本人だけではなかなか分からないという方もいらっしゃると思うので、同乗している家族などがチェックしてあげるのが一番いいですね。周りから「交差点ちゃんと見えてないよ」とか「急発進多いよ」「しょっちゅう車庫入れしてるね」とか言われたら、それが聞けるうちに、これからどうしようと考えていかないといけません

宮澤智アナウンサー:
1人だけで運転するのではなく、誰か家族などと一緒に車に乗る機会を増やした方がいいんですね

伊藤安海教授:
そうです。実際に同乗者がいる方が事故率も下がるという科学的なデータもありますよ。乗せていると本人も意識が高くなりますし、なおかつ今のような項目をチェックしてもらって、「最近ちょっとこの能力落ちてるけど大丈夫?」って、周りが見てあげる機会にしてください

サバンナ高橋:
そういう声を、うるさいと思わずに、耳を貸さないとダメってことですね

伊藤安海教授:
逆に言うと、貸せなくなったらだいぶ危ないかなと思います。実際に研究してみると、自己評価といろんな能力というのは逆の相関が出るんですよ

安藤優子:
まずは自分がどれだけ危ない運転をしているのか、知ろうとすることが一番大切ですね

(「直撃LIVE グッディ!」6月4日放送分より)