“あおり運転”の恐怖を伝える動画が話題…「怒りは、速度で、凶器に変わる」に込めた思いを聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 岡山トヨペットが公開した「あおり運転」の恐怖を伝えるストップモーションアニメが話題
  • 担当者「根幹はハンドルを握ったときの“怒り”にある」
  • 「あおり運転」の加害者・被害者にならないためのアドバイス

「あおり運転」の恐怖を伝える動画が話題

「あおり運転」による事故やトラブルが後を絶たない。

2017年6月、神奈川県・大井町の東名高速で、悪質な「あおり運転」の末に2人が死亡した事故をきっかけに社会問題化しているが、最近も、今年3月に静岡県沼津市内で衝突事故を起こし逮捕された男が、事故の直前に「あおり運転」をしたとして、5月21日に再逮捕された。
男は、衝突事故の直前700メートルにわたって、前の車に対し車間距離を著しく詰めるあおり運転をした疑い。

こうした中、自動車販売の岡山トヨペットが「あおり運転」の啓発動画『STOP ROAD RAGE』を制作、13日からWEB限定で公開を始め話題となっている。

これは、岡山トヨペットが、交通事故ゼロに向け、2016年から取り組んでいるプロジェクトの一環。

動画は、「あおり運転」が引き起こされるまでの加害者と被害者の心理的な描写を、切り絵を使ったストップモーションアニメで表現した内容になっていて、すでに40万回再生されている。(5月24日現在)


「怒りは、速度で、凶器に変わる」


動画の始まりは、爽やかな青空。男性がランニングをしている。

すると、自転車がベルを鳴らしながら歩いている男性のスレスレを通り過ぎ、男性は少し危ない目に遭う。

イライラを象徴しているのか、白からオレンジ色に変わる男性。柔らかかった表情も少しこわばる。

次に予定があるのか、時計を見て時間を気にしながらランニングを続ける男性。
その横を親子が横切る。

男性の前を走り始めた親子は、ゆっくり走ったり、遠くにいる犬を見るために突然立ち止まったりと、マイペース。そんな親子に、後ろを走る男性はイライラ。

なかなか走り出さない親子に、男性のイライラは最高潮に。
親子との距離をつめ始め、それに親子も気が付き、道を譲るために左右に避けるが、男性はしつこく追ってくる。

男性はすでに人の形をしておらず、炎の形をした化け物のような姿に。
迫りくる男性に、父親は子供を抱え込んでひたすら走って逃げる。

すると突然、ブレーキ音とともに画面が暗転し、映し出されるのは「怒りは、速度で、凶器に変わる」という言葉。

そして映像は、電柱にぶつかった車と、怒りに満ちた色をした車が交通事故を起こしている場面に切り替わる。

最後に「STOP ROAD RAGE」の文字が映し出され、動画は終了する。

この啓発動画でとくに印象に残るのは、「怒りは、速度で、凶器に変わる」という言葉だ。
どのような思いから、この言葉を選んだのか?
岡山トヨペットの担当者に話を聞いた。

「根幹はハンドルを握ったときの“怒り”にある」

――この動画を制作した理由は?

「あおり運転」による事故は、自動車販売を生業とする企業として悲しい状況であり、何とかしたい、と強く感じていました。

また、「あおり運転や、急な割り込みなど危険運転をされたことがあるか?」との問いに対して、「ある」と回答した人は76%(出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会)という調査結果を受け、交通事故ゼロ・プロジェクトの第6弾として、この動画を制作し、「イライラ・あおり運転をやめよう!」という啓発を行うことになりました。

 「あおり運転」の危険性について企画を開発する上で調べていくと、その根幹はハンドルを握った時の“怒り”にあると思いました。

欧米では「STOP ROAD RAGE」の掛け声のもと、運転中の“怒り”がどれだけ危ないものかを啓発していて、まずはそのことを伝えたいと考えました。

岡山トヨペットHPより

――「怒りは、速度で、凶器に変わる」。このような表現にした理由は?

まず、些細な“怒り”でも、速度によって悲劇も加速していくことを多くの人に最大限、感じてもらうために、切り絵のストップモーションという手法で表現しました。

より具体的なモデルや実車で表現するよりも、紙人形にすることで見ている人の想像する余地を多くし、自分ごとに置き換えてもらうことを意識しています。

おそらく日常でも見知らぬ誰かの行為にイラっとしたりすることは多いと思います。
程度の差こそありますが、生身の身体ではそのイライラを表現しても限界があります。

ただ、車に乗り、速度という力を纏うと、”怒り”は悲劇につながる可能性が一気に高まります。
それは誰しにも起こり得る状況です。

ハンドルの握った時の”怒り”こそが、自分にとっても他人にとっても、脅威となる。

何気ない“怒り”が速度によって徐々に“凶器”へと変化する様子を描くことで、誰もがその加害者にも被害者にもなることの恐ろしさを感じてもらえれば、と考えました。

「あおり運転」の”加害者””被害者”にならないために…

日本アンガーマネジメント協会によると、危険運転に関するアンケートで20~60代の420人のうち、9割超が運転でイライラしたことがあると回答している。

岡山トヨペットHPより

――では、「あおり運転」の加害者にならないためにはどうすればよい?

「余裕をもって出発すること」、「イラっとしたら6秒待つ」、「深呼吸する」、「家族写真など大切なものを見えるところにおく」、「イライラしないように気持ちを落ち着かせる」といった対処法が考えられます。


――「あおり運転」の被害者にならないためにはどうすればよい?
 

こちらは、「割り込まないこと」、「速度制限以下などでゆっくり走らないこと」、「緊急時以外クラクションを鳴らさないこと」、「他の運転者をあおらないこと」といった対処法が考えられます。


――もし、あおり運転をされてしまったら、どう対処すればよい?

「危険運転車には追い抜いてもらうこと」、「相手の車が見えなくなるまで見過ごすこと」、「絶対に車から降りないこと」が大事です。

運転でイライラすることは誰しもあるはず。
「あおり運転」によるトラブルを、今後減らしていくためには、誰もが“加害者”にも“被害者”にもなり得ることを一人一人が認識する必要があるのだろう。