辺野古移設などが争点! 衆議院沖縄3区補欠選挙

“打倒安倍政権”掲げる剛腕・小沢氏VS“政権の屋台骨”・菅氏-

カテゴリ:地域

  • 玉城氏が県知事になったことを受けて行われる沖縄3区の補選が熱い
  • 7月の参院選を睨み“代理戦争” 
  • 沖縄3区は、基地問題以外にも貧困、格差…課題山積

現沖縄県知事の玉城デニー氏が2018年9月に知事選に出馬したことに伴い空席となった衆議院沖縄3区。
米軍普天間基地の移設先とされる名護市など沖縄本島中北部と周辺離島で構成していて、過疎化や医療体制、那覇を中心とした南部地域との経済格差など、基地問題の他にも様々な課題を抱えている。

名乗りをあげたのは玉城デニー知事の“後継候補”で「反基地」気鋭のジャーナリスト・屋良朝博氏。
そして安倍政権の“秘蔵っ子”で元沖縄北方担当相・島尻安伊子氏の2人。


有権者は何を思い一票を託すのか?ガチンコの選挙戦を制するのはどの候補か?

抑止力は「ユクシ(嘘)」

ジャーナリストの屋良朝博氏は地元紙・沖縄タイムスの元記者。
米軍基地に囲まれた地域で生まれ育った屋良氏は1995年に沖縄県内で起きた米兵による少女暴行事件を目の当たりにして以来米軍基地問題の取材・報道をライフワークにしてきた。

米軍普天間基地の名護市辺野古への移設の是非を巡っては、「代替施設を造らずとも海兵隊の運用を見直せば普天間基地の閉鎖は可能」という持論を展開。米首都ワシントンやハワイで取材し「沖縄でなければ海兵隊を運用できないという専門家はいない。日本政府の言う抑止力はユクシ(※沖縄方言で嘘の意味)」と主張する。

安全保障の考え方について巡って沖縄と“本土側”にギャップがあると強く感じていて「辺野古を埋めるのではなくギャップを埋める」と意気込んでいる。

“辺野古容認”へ先鞭

「台所から政治を変える」をキャッチフレーズにしてきた宮城県出身の島尻安伊子氏は4人の子育て経験が政治の原点。2007年に参議院沖縄選挙区の補欠選挙で初当選。安倍政権では沖縄北方担当相に就任し、沖縄振興に力を注いだ。

米軍普天間基地の問題を巡っては辺野古移設を容認する立場。かつて民主党政権時に自民党沖縄県連が“県外移設”を掲げていた中、「普天間基地の危険性除去のために辺野古はやむを得ない」との考えを示し、県連の“辺野古回帰”に先鞭を付けた。

政権与党の一員として活動してきた“実績”を全面に打ち出し、3年ぶりの国政復帰(※2016年の参院選で落選)に意欲を燃やす。

“貧困”“振興”など課題山積の沖縄3区 

沖縄テレビがJX通信社と告示後の13日、14日に実施した情勢調査で、投票に際し最も重視する政策として「基地問題」が最も多く48.6%に達した。

一方、沖縄では深刻な「子どもの貧困問題」がここ数年大きくクローズアップされており、沖縄県が今年3月に発表した県民意識調査では県が取り組むべき課題として「子どもの貧困対策の推進」が基地問題をおさえてトップ(42.1%)となった。


また、沖縄3区の本島北部では医療や教育、交通インフラなど様々な面で那覇市を中心とした南部地域との格差が大きな課題となっている。


屋良氏は子どもの貧困の温床と指摘される「親の貧困」を解消するため、労働者の待遇を改善することや、北部を周遊する路面電車構想を掲げている。


島尻氏は沖北相在任時に子どもの貧困対策事業として10億円を計上した実績を強調。交通インフラでは沖縄自動車道に新たなインターチェンジを設けることなどを公約としている。 

7月の参院選を睨み代理戦争

大阪12区と同様、沖縄3区の補選は“平成最後の国政選挙”で結果は7月にも予定される参議院選挙にも影響するとみられている。

 打倒安倍政権に燃える国政野党。玉城デニー知事が「師」と仰ぐ小沢氏が度々沖縄入りして激を飛ばす。玉城知事は自由党の元幹事長だっただけに小沢氏としては後継候補を何としても当選させて党勢を維持させたい考え。公示後には立憲民主の枝野氏、国民民主の玉木氏、共産党の志位氏が一同に会す場面もあった。野党側にとって参院選で“共闘体制”を構築する試金石にもなりそうだ。

 島尻氏は安倍首相や菅官房長官からその手腕が高く評価されていて、16年の参院選で落選した後も引き続き沖北相補佐官に留まるなど、安倍政権にとってのいわば“秘蔵っ子”。 

2018年9月の県知事選では、政権与党が擁立した候補の勝利に向けて菅氏を始め大量の国会議員を東京から送り込んだものの大敗し、「国・党本部主導の選挙が裏目に出た(県連幹部)」と指摘された。これを踏まえ3月に来県した菅氏は街頭などに立つことなく水面下で地元議員や経済界の引き締めを図った。

両陣営の戦略

「知識も解決策も熱意もある。無いのは名前」。
こう苦笑するのは屋良氏陣営の関係者。屋良氏にとっては知名度が大きな課題だ。圧倒的な知名度を誇る玉城知事の顔をポスターに掲載するなど“玉城デニーの後継者”であることを前面に打ち出す。

「新聞記者だった屋良氏が『玉城氏が市議選に出馬』という記事をすっぱ抜き、当時の仕事(タレント)をクビになった」と事務所開きであいさつし笑いを誘った玉城知事。屋良氏の記事が政治家を志す後押しとなった因縁を紹介した。沖縄県の幹部は「知事の出身地でもある“お膝元”の沖縄3区で負ければ玉城県政の求心力の低下に直結する」と厳しい表情で語る。小沢氏も「補選に対する関心度は低い」と投票率が低下して無党派層からの得票が伸び悩むことを懸念。陣営は最後まで知名度の浸透に力を注ぐ方針だ。

自民党県連は去年9月の県知事選挙で展開した「辺野古隠し」の戦略が有権者の反感を買ったと分析。今回は辺野古移設は“苦渋の選択”として容認する姿勢を明確にした。公明・維新の推薦を受け、2018年に行われた各市長選挙を制した自民・公明・維新の協力態勢で選挙戦を展開している。公明党県本部が「辺野古反対」を堅持しているため政策協定は締結しなかったが、野党同様に補選に勝利することで7月の参院選に向けて弾みをつけたい考えだ。


「自公維」の“勝利の方程式”で当選した沖縄市・うるま市・名護市の市長などが全面的に支援し、地域をくまなく回る“どぶ板選挙”を実践している。 

“辺野古争点”いつまで…

2014年の県知事選挙で翁長雄志氏(故人)が当選して以来、沖縄の全県選挙では軒並み「辺野古反対」の候補者が当選してきた。さらに2月に行われた辺野古の埋め立てを問う県民投票では投票者の7割以上が反対に投じた。


それにも関わらす政府は「沖縄には沖縄の民主主義、国には国の民主主義がある(岩屋防衛相)」などと強弁して移設工事を押し進めており、その強硬な姿勢を批判するトーンは全国的に強まっている。


こうした中、安倍政権としては名護市辺野古を抱える沖縄3区公認候補が当選すれば「有権者の理解を得た」と国民に印象付けることができる。一方、辺野古移設に反対してきた勢力にとっては先の県知事選や2月の県民投票で示された「辺野古反対」の民意が水泡に帰す可能性も孕んでいて、選挙の結果が大きく注目されている。

執筆:沖縄テレビ 報道部 普天間 歩

プライムオンラインでは4月21日(日)夜
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